【コラム】別の災難と危機に備えるべき時=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.04.23 17:42
大統領の厳しい叱責を受けてきた政府が、今は事故の収拾と海難事故防止対策の準備に忙しいが、事故は海難事故だけでない。事故の小さな兆候を逃し、危険の警告灯を無視している分野は一つや二つではないだろう。問題は、災難や危機の兆しを発見し、問題を是正し、事前に対策を用意するのは、概してその成果が目に入ってこないという点だ。あらかじめ事故と危機を予防するというのは、実際、何も起こらないということだ。事故や危機の可能性が表に出てこない。事故や危機が発生しなかったと称賛を受けるケースはほとんどない。逆に事故や危機が発生すれば、その時に初めてこれまでの無対策や無責任が表れる。とはいえ、事故が発生するまでひたすら待っているわけにはいかない。今でも全部処がセウォル号の衝撃に気を落としているのではなく、所管分野で予想できる事故と危機の兆候を点検し、最善を尽くして対策を用意する必要がある。成果が表れず報いがなくても、受け持つところで職分を果たすのが公職者の姿勢だ。今すぐ、朴槿恵(パク・クネ)政権が野心を抱いて始めた公共機関革新と規制改革から、気を引き締めて推進しなければならない。ともにすでに危機の警告灯がついた分野だ。今から対策を用意しなければ、いつか大事故と危機を迎えるからだ。全国がセウォル号沈没事故で沈痛な雰囲気だからといって、適当に通過してはいけない。
実際、セウォル号の事故に埋もれて注目されていないが、国際通貨基金(IMF)は先週、年次報告書を通じて韓国経済に危険信号を送った。韓国がサービス産業と労働市場を改革できなければ、10年後に潜在成長率が2%台に落ちると警告したのだ。韓国の潜在成長率はすでに1990年代の7%から最近3%台に落ちたが、今後2%まで下がるというのは、先進国への飛躍が水の泡になるということだ。サービス産業と労働市場を改革しなければ、韓国経済がすぐに崩れるというわけではないが、危機の兆しを放置すれば、結局は危機を迎えるしかないという診断だ。IMFの警告自体を危機の兆候と見なさなければいけない。
セウォル号沈没事故は国家的な災難であり悲劇だ。しかしいつまでも沈痛な雰囲気に包まれて、仕事が手につかない状況ではいけない。米国民に集団的トラウマをもたらした米同時多発テロの1週間後、ブッシュ大統領は「日常は続かなければいけない(Life goes on)」と話した。もう韓国の国民も落ち着いて日常に復帰し、その他の危機や災難に備える心がけを持たなければいけない時だ。