【コラム】両極の毒針=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.18 10:44
『ファーブル昆虫記』にはオニグモを狩る黒いハチが登場する。韓国にも生息するこの「ベッコウバチ」はクモの巣を避けてそっと近づいて毒針を刺す。しかし死なないほどの麻酔だ。気絶したクモを暗い巣に引っ張っていき、その周辺に卵を産む。目覚めた幼虫は息が絶えていない新鮮なクモの中身を徐々にかじりながら育つ。蚊とハエをなくす益虫のクモは結局、殻だけを残して最期を迎える。人間の生態系にも「クモの悲劇」がある。極端な思考と盲信、過激と暴力の毒が健康な社会をまひさせ、かじって枯死させる。
このハチは賢く、獲物の最も弱いところを毒針でねらう。硬い節の間の中枢神経節が急所だ。失業などで悪化した経済や失政、人権蹂躪、紛争と平和の危機などは毒針を刺す絶好の標的となる。