「妻の誘惑」はいわゆる「マクチャンドラマ」(=非現実的で無理やり作った感じのするドラマ)に対する視聴者たちの学習効果に頼っている。数年間悪口を言われながらも最高の視聴率を上げいつの間にか慣れ親しんでいるマクチャンドラマのコードと技法が総動員される。クリシェになった記票たちを呼び出す方式も思い切りがよい。ホームドラマのスタイルを使ったり現実的であろうとしたわずかの努力さえ敢然と削除してしまった。今更機嫌をうかがう必要があるのかということだ。
初回から主人公が夫のせいで海におぼれて死ぬ設定だ。続いて復讐に必要な状況とキャラクターを序盤で簡単に説明した後、一直線に凄まじい恨みと対決の第2幕が開かれる。スピードが非常に速い。遠回りしながら視聴者に説明する間違いを犯さない。彼らはすでにマクチャンドラマに慣れるだけ慣れているのだ。最初に彼らが願った奥深い所の欲望だけが熾烈に奮闘をする所で素早く連れて行く。