【時視各角】金与正の脚本、トランプの無原則=韓国

【時視各角】金与正の脚本、トランプの無原則=韓国

2018年08月29日13時22分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  5月9日、ポンペオ米国務長官の2回目の訪朝当時の小さな突発状況。

  ポンペオは北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との会談中、資料一つを金正恩に渡した。内容は極秘。金正恩は同席した金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長に渡した。ハプニングがあったのは会談が終わった後だった。会談場所を出る瞬間、外に待機していた金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長がすかさず駆けつけた。そして金英哲が持っていた資料を奪い取った。会談場所は透明のガラスで囲まれていて、金与正が内部の一挙手一投足をすべて見ていたのだ。金英哲はいかなる「反抗」もしなかった。いや、できなかったのだろう。当時の状況は米国側の随行員全員が目撃していて話題になった。

  ポンペオの4回目の北朝鮮訪問が突然中止になり、ワシントンは韓国・米国・中国と順に接触する北朝鮮外交の中心に金与正がいるのではという疑いを抱いている。6月のシンガポール首脳会談の前後から金正恩を集中分析した結果、度量が大きく頭の回転が速い点は認めるが、表情などから「読まれる」人物という内部の判断をしたという。交渉代表の金英哲はほとんど話が通じず、金正恩に戦略・戦術を積極的に提言するスタイルもそれほどの地位ではないという評価だ。結局、金与正の関与のもとで一連のすべての脚本が進行しているということだが、日本の情報機関も似た分析をしたという。

  問題は米国としてはふさがっている、金与正の意図で進んでいる現状況を打開する妙案がないということだ。特に行政府内の実務官僚とトランプの「理解の格差」がますます広がる様相だ。

  ポンペオの4回目の訪朝の中止をめぐる混乱がそうだった。23日に「来週行く」と発表しておいて翌日に中止した。北朝鮮から当日に「敵対的」内容の秘密の手紙を受けたためという報道もあるが、手紙1枚で訪朝を中止にすること自体が無原則とどんぶり勘定式の対応を象徴的に表している。さらに訪朝中止を公表しながら「米中間貿易問題が解決した後にポンペオが北朝鮮を訪問するだろう」と伝えた。自ら「北核問題は米中貿易問題よりも後ろの順位」と規定した。中国との貿易戦争が早期に終わると見る人はいない。それでもあえて中国問題を引き込んだ。北核問題を妥結しようという考えより、11月の中間選挙で米中貿易問題を浮き彫りにし、「中国に対抗して戦う大統領」のイメージを強調する方向に転換したのだ。それが得票に役立つからだ。官僚は「政策」に基づいて仕事をし、トランプ大統領は「政治と直感」で行動する。それぞれ別々に動いている。

  当分は米朝関係に突破口は開かれないようだ。中国の習近平主席はトランプの脅迫にもかかわらずに中朝蜜月関係を強めていくだろう。北核問題が複雑な高次方程式、いやトランプ発の三流リアリティーショーの構図になってしまった。懸念された状況があまりにも早く訪れた。来月末にニューヨークで開催される国連総会も金正恩出席の可能性はほとんど消えた。

  こうした中、韓国だけが一方的に北朝鮮との関係改善に乗り出すのも適切でない。さらに米国は「『北朝鮮の1年以内の非核化』は南北首脳会談で合意したことだ」とし、その約束を伝えた韓国に露骨に責任転嫁しようとしている。こういう時は「具体的な非核化措置までは強力な制裁を維持」という基本に戻るのが正しい。非核化と平和は共に進まなければいけない。非核化のない韓半島(朝鮮半島)の平和はない。「対北朝鮮制裁」違反という声が出ている南北連絡事務所の開設を急いで米国との不必要な摩擦を招く必要はない。北朝鮮が、金与正が望んで意図するところに我々がいま走っていく理由はない。

  金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
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