【時視各角】米中のむやみな通商圧力…負ければ習慣になる=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.12.14 10:51
アレクサンダー・ハミルトンは米国経済の父と呼ばれる。建国初期、米国の大統領らは「共和主義的農業国家」を夢見たが、ハミルトンは違った。彼が描いた米国は「商業的工業国家」だった。ハミルトンは1791年、製造業国家に転換するための経済開発理論を出した。バークレー大学の経済学者スティーブン・コーエンはこれを「ハミルトン・システム」と呼んだ。ハミルトン・システムの核心は「高い関税」だ。関税は建国初期に米国企業が製造業技術開発に投資するインセンティブと成長動力を提供し、新技術開発のための補助金としても使われた。コーエンはハミルトン・システムが英国の経済植民地に転落することも考えられた米国経済を製造業強国に変えた「神の一手」だったと評価する(『現実の経済学』)。
一国の政治・経済・外交は成功モデルに回帰する本能がある。より良いモデルが出てきても過去を踏襲しようとする。より便利なキーボードが出てきても、不便だが慣れているクワーティー(QWERTY)キーボードに戻るのと同じだ。いわゆる経路依存(path dependence)法則だ。強大国であるほどそうなる。過去の栄華と成功の記憶を忘れることができないからだ。
ハミルトン・システムと経路依存こそが、最近の米国・中国のむやみな通商圧力を説明するキーワードだ。トランプ大統領の保護貿易はある日突然、空から降ってきたわけではない。ハミルトンの「高い関税」は第2次世界大戦直前まで100年以上も続いた。トランプ大統領だけでなく米国の大きな流れを眺める必要がある。4日に出した米国際貿易委員会(ITC)の報告書にそのような点が表れている。ITCは「サムスン・LGエレクトロニクスの洗濯機にセーフガード(緊急輸入制限措置)を発動するのが米国経済に良い」と書いている。米国1位の洗濯機企業ワールプールの洗濯機工場で1300人の雇用が生じ、投資も増え、米国の競争力も強まる、と指摘した。国益の前では、自由貿易の秩序が毀損されたり、サムスン・LGの輸出が半減する程度は何でもない。