「だれが円を下げ続けられるだろうか」

安倍晋三首相が日本銀行次期総裁の人選で最優先とする基準だ。経済専門家らが批判する「通貨乱用者（Ｍｏｎｅｙ　Ａｂｕｓｅｒ）」を選んでいるわけだ。

現総裁である白川方明氏が５年の任期を終え４月に退く。安倍首相の人選作業が真っ最中だ。２８日の日本経済新聞とロイター、ブルームバーグによると有力候補は２人だ。武藤敏郎大和経済研究所所長と岩田一政日本経済研究所長だ。２人とも“デフレファイター”だ。

武藤氏は、「日本銀行は長期国債をさらに多く買い入れなければならない」と話してきた。岩田氏はさらに攻撃的だ。岩田氏は２年前「日本銀行は物価上昇目標を２％に定めるべき」と主張した。これが安倍首相の総選挙公約に採択された。

ロイターは、「武藤氏と岩田氏とも安倍首相の好みにぴったり合う人物。だが、自民党は参議院の多数党ではなく２人の承認を壮語することはできない」と伝えた。実際２００８年に国会は日本銀行総裁指名者を落馬させたことがある。ダークホースとして別の２人が議論される理由だ。

最初のダークホースは竹中平蔵氏だ。小泉政権時代に、経済財政政策担当大臣などを務めた。「小泉改革設計者」と呼ばれる。彼は「インフレは年１～３％程度はならなければならない」と主張した。

２人目のダークホースは伊藤隆敏東京大学教授だ。米コロンビア大学フレデリック・ミシュキンとともに世界の２大通貨政策理論家に挙げられる。安倍首相が総選挙の公約に掲げた「物価上昇目標制」を２００４年に初めて主唱した人物だ。だが、財政健全性を重視するのが安倍首相と異なる点だ。

候補４人のうちだれになっても日本銀行には屈辱だ。候補すべてが日本銀行出身ではないためだ。武藤氏と岩田氏は日本銀行副総裁を務めたことはあった。しかし、武藤氏は大学卒業後に大蔵省（現財務省）入りした官僚出身者だ。岩田氏は学界に身を置いた。竹中氏は日本産業銀行で働いた。１９９８年から１５年にわたり日本銀行総裁は出身者や彼ら後ろ盾として迎え入れた人物だった。このような伝統が崩れることになったのだ。国際金融専門家らは安倍首相が指名した次期日本銀行総裁が就任すれば円安にまた加速度がつくとみている。