主力スマートフォンを１カ月間販売できず、スマートフォン交換費用として１兆ウォン（約９２６億円）以上を使いながらも、サムスン電子が「サプライズ実績」を出した。サムスン電子は７－９月期の売上高４９兆ウォン、営業利益７兆８０００億ウォンという内容の実績暫定値（ガイダンス）を７日、発表した。これは金融情報会社エフエヌガイドが集計した証券会社の営業利益予測値の平均より３５００億ウォン以上多い。ギャラクシーＳ７の販売好調で営業利益が８兆１０００億ウォンの「アーニングサプライズ」となった前期に比べると、売上高は３．８％減、営業利益は４．１％減。前年同期（７兆３９００億ウォン）に比べると営業利益は５．５％増加した。

市場では半導体・ディスプレー・テレビ・生活家電など部品から完成品まで保有する「ポートフォリオの力」がギャラクシーノート７のリコールという危機状況で力を発揮したと評価している。

善戦の原動力にはまず半導体とディスプレー部門が挙げられる。未来アセット証券のド・ヒョンウ研究員は「サムスン電子の主力半導体製品であるＤＲＡＭとＮＡＮＤ型フラッシュメモリーのグローバル需要が高仕様スマートフォンを中心に堅調であるうえ価格も上昇基調」とし「半導体とディスプレーだけで４兆２０００億－４兆３０００億ウォンの営業利益を出したと推定される」と述べた。

サムスン電子のグローバルＤＲＡＭ市場シェアは４７．４％、スマートフォンによく使用されるＮＡＮＤ型フラッシュメモリーの市場シェアは３６．３％にのぼる。

消費者家電（ＣＥ）部門も営業利益が８０００億ウォン近いと推定される。７－９月期は消費者家電の需要が減る時期だ。しかし今年は猛暑がエアコンを、オリンピック（五輪）やユーロ２０１６などスポーツイベントがテレビ部門の需要を引き出した。サムスン電子の関係者は「無風エアコンがヒットしてエアコン販売量が前年同期比３０％増加し、欧州市場でテレビ販売量がサムスンの最大の販売地域である北米に追いつくほどよく売れた」と説明した。

ギャラクシーノート７のバッテリー爆発のため苦戦したＩＭ部門は営業利益が２兆８０００億ウォン程度と推算される。ノート７は８月１７日に国内で発売された後、一日２万台以上売れるなど大ヒットしたが、バッテリーの欠陥で９月２日から１０月１日まで販売中止になった。この期間は販売できなかったほか、２５０万台の交換費用に１兆－１兆２０００億ウォンかかった。サムスン電子の関係者は「７－９月期の実績にリコール費用はすべて反映された」と説明した。

市場の関心はサムスン電子が１０－１２月期に４－６月期（８兆ウォン台）並みの実績を回復するかどうかに集まっている。ユジン投資証券のイ・ジョン研究員は「販売を再開したノート７が販売初期の人気を回復できるかどうかにかかっている」と話した。この日のサムスン電子の株価は前日比０．８９％値上がりし、過去最高値の１７０万６０００ウォンとなった。