【噴水台】やせる薬

【噴水台】やせる薬

2008年04月09日11時21分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  やせる薬の歴史は副作用の歴史でもある。20世紀初めに登場した甲状腺ホルモン剤(甲状腺ホルモンを補う薬剤)が始まりだ。甲状腺機能亢進(こうしん)症の患者らがやせるという点に着眼した処方だ。患者は、体内の代謝過程が速くなり、食欲は増加するのに体重は減りつづける。1、2カ月の間に3~4キロずつ減るから効果は満点だ。だが、本当に患者になってしまうのが問題だった。神経が鋭敏になり、いつも疲れを感じることに加え、骨粗しょう症まで生じ、この方法は廃棄された。

  1990年代半ばには、向精神薬が食欲抑制薬として人気を博した。フェンタミン(Phentermine)とフェンフルラミン(Fenfluramine)をともに処方する、いわゆる「フェン・フェン」療法に、肥満患者は熱狂した。しかし、97年、全米で最も優れた病院のひとつに数えられているメイヨー・クリニックが「フェン・フェン処方を受けた人々の心臓弁膜に問題が生じた」という報告書を発表した後、この治療法は消えた。うつ病治療薬をとんでもない目的に使った代価だ。

  だが、脳をごまかして空腹感を感じさせないというアイデアには効用があった。97年、ドイツの多国籍製薬会社クノール(KNOLL)が米食品医薬品局(FDA)から販売承認を受けたリダクティル(Reductil)がそうである。本来うつ病治療薬として研究していたが患者の体重を減らす副作用が確認された後、そこに焦点をあてて食欲抑制薬に開発したのだ。99年にはスイス・ロッシュ社が開発したゼニカルがFDAの承認を受けた。体内で脂肪を吸収する酵素、リパーゼの機能を阻害し、減量を実現する原理だ。

  公認された肥満治療薬の弱点は値段が高いうえ、患者次第で効果が一定でないという点だ。市場は途方もなく大きいが、対策は十分でないから、すき間がある。そこで注目を集めたものが、食欲と体重を減らす副作用のある諸薬品だ。抗てんかん薬を食欲抑制薬に、風邪薬を脂肪分解剤に、糖尿病治療薬を肥満治療薬に使うのだ。実際、韓国内の製薬大手3社が医者にこのように広報、販売したが、大韓薬剤師会により告発された。肥満クリニックで医師の責任のもとで処方するのは合法だが、製薬会社の許可事項から抜け出した広告・販売は不法らしい。

  懸念されるのは肥満クリニックが「薬品を承認した目的以外」に行う処方だ。60年代に46カ国でおよそ1万人の奇形児を誕生させたサリドマイド事件を思い浮かべるからだ。当初、鎮静・催眠薬として開発、市販されたが、医者らが妊婦のつわり治療薬として集中処方し、被害を膨らませた。98年、米医学協会の出版物に発表された「入院患者の薬品副作用発生率」という論文も衝撃的だ。米国で、医師が正常に処方、投薬した薬の副作用により命を失った人が、94年の一年間だけでも10万人を上回るという。やせる薬に命をかける必要はないのではないかということだ。それよりは食べ物を減らし運動量を増やしてみよう。健康とスタイルを守る方法として確実に立証付けられたものは、現在までそれだけだ。
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