【取材日記】世界初の国会水素ステーション、ようやく第一歩だ=韓国

【取材日記】世界初の国会水素ステーション、ようやく第一歩だ=韓国

2019年09月11日10時26分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  10日、ソウル・汝矣島(ヨイド)の国会に水素ステーションが設置された。韓国政府は「国会に水素ステーションができたのは世界初」と紹介した。年中無休で1時間に5台、1日70台以上の水素自動車に水素を供給できる。10月にソウル・上一洞(サンイルドン)にステーションを追加完工すれば東(上一洞)・西(汝矣島)・南(良才洞)・北(上岩洞)にそれぞれ水素充電インフラが構築されることになる。ソウル各地を走る水素タクシー事業もこの日始動した。今年10台から始め2022年までに20台に増やす計画だ。

  中央日報はこのほど水素経済先進国を見て回った。ドイツは省庁間の仕切りを取り払ったコントロールタワーが水素経済を陣頭指揮する点が目に付いた。官民協力が活発な上に水素経済に対する国民の支持も高かった。中国は「水素崛起」が目立った。如皋市を水素都市に選定し、世界最大規模の水素ステーションを構築してグローバル水素企業を誘引するなど政府主導で果敢な実験の真っ最中だった。

  日本は水素自動車だけでなく、コンビニエンスストア、病院、美容室、ホテル、飲食店、幼稚園などに水素経済の「生態系」が拡散していた。一部の家庭では水素発電機で作ったエネルギーで冷暖房するほどだった。「エコカー天国」の米国ではすでに6500台を超える水素自動車が道路を走っていた。水素自動車、水素ステーション関連規制にしばられなかったおかげで水素経済が大きく開いている。

  少しずつ異なるが水素経済先進国の共通点を3つ挙げるなら、国の全面的な支援、民間の活発な投資、規制から自由、だった。韓国は今年初めから国主導で水素経済にドライブをかけた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も現代自動車が作った水素自動車「ネクソ」を青瓦台(チョンワデ、大統領府)の専用車に採択するほど積極的だ。民間では水素自動車分野で世界最高水準の技術力を持つ現代自動車が投資の最中だ。

  だが規制から自由なのかに対しては疑問だ。端的にこの日開設された国会水素ステーションは「規制サンドボックス(新製品・サービスに対する既存の規制免除・猶予)」第1号のため許認可から完工まで7カ月で可能だった。周辺がほとんど商業施設のため住民の反発が小さく、運営費用を現代自動車が負担したことも一役買った。言い替えれば規制サンドボックスでなかったなら竣工は不透明だったという話だ。

  水素自動車が「血」ならば水素ステーションは「血管」だ。ところが血管はあちこちで詰まっている。全国でステーションは29カ所だが大部分が人の少ない郊外にある。ステーションがあっても頻繁な運営中断で100%活用することもできない。ソウル・江南(カンナム)では唯一の良才洞(ヤンジェドン)ステーションは、週末には充電するために3~4時間待つのが常だ。江原道(カンウォンド)にはステーションがなく、春川(チュンチョン)から100キロメートル離れた京畿道驪州(キョンギド・ヨジュ)まで充填しに行ってきたという水素自動車所有者のエピソードも中央日報を通じ紹介された。

  ソウル・竜山(ヨンサン)に作ろうとしていたステーションは近くに保育施設があるという理由で区庁の許可を受けられず失敗に終わった。桂洞(ケドン)に作ろうとしていたステーションは文化財保護を理由に条件付きで許可を受けるなど推進は遅々として進まない。国会水素ステーション竣工を祝う前になぜいまになって初めて都心の真ん中にステーションを作ることができたのか振り返るべきではないだろうか。

  水素経済で進むべき道はまだ遠い。インフラが不足している状態で民間投資を引き出すためには政府の支援が切実だ。実質的な需要者である国民に水素が安全だという認識を持たせ、各種規制を緩和するなど政策的な後押しが伴わなければならない。政府が掲げる「最初」という修飾語が「例外」と聞こえるからだ。

  キム・ギファン/経済政策チーム記者

  
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