<仏テロ>ISなくしても別の怪物出てくる…怒り・差別の種なくせ(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.11.17 13:22
ISが強大な資金と組織で国際社会を震わせているが、実体をのぞいて見れば意外に虚弱だ。イスラム世界でISの支持率は1%を下回っている。主流ムスリムなど国際社会はISの反倫理的犯罪に歯ぎしりしている。問題は米国・フランスなどの連合軍が空襲と、さらに一歩進んで地上軍の派兵によってISの根拠地を破壊するとしてもISは消えないということだ。ISの勢力が弱まるとしてもISに追従する自然発生的なテロリストがISの指令を受けたり独自に西側を攻撃したりするだろう。またISが弱体化すれば、これに代わる別の怪物テロ組織が雨後のたけのこのように生じるほかはないというのが西側のテロとの戦争の構造的矛盾だ。2011年5月パキスタンのアボッターバードに潜伏していたアルカイダ指導者オサマ・ビン・ラディンの射殺に決定的役割を果たしたマイケル・フリン元米国防情報局(DIA)局長も「ドローン(無人機)攻撃で、得るものよりも失うものがはるかに多い」と告白した。米国がテロとの戦争の核心戦力として活用するドローンは1人のテロリストを射殺するために平均8~9人の民間人を犠牲にしている。ドローンで犠牲になったムスリムの遺族たちが米国を憎悪し、ジハーディスト(聖戦主義者)になる悪循環を防ごうとするならば、米国と西側はテロとの戦争の方式を再検討する必要がある。
米国が2001年にアフガニスタンを侵略して始まった14年間の米国主導のテロとの戦争の成績表はFだ。米国はこれまで4兆ドル(約4700兆ウォン)以上の天文学的なお金と人材を使ってもアルカイダとタリバンを排除できなかった。その間にテロは10倍近くに増えた。今や人類はテロ問題を解決するための全く新しいパラダイムを考える時になった。それはテロ分子を壊滅する努力よりもはるかに重要な課題として、テロ分子を量産しないようにする国際環境を作ることだ。このためにISの最大の後援者である極端な怒りと深刻な社会的差別を緩和させるソフトパワー戦略が重要だ。西側がイラクとシリアの早急な政治的安定と大幅な民生の経済支援、戦争被害者に対する心理治癒プログラムの提供、戦争孤児に対する教育の機会と就職あっせん、アラブ難民の受け入れのような努力が後に伴わないならば死の行進に駆せ参じるテロ勢力を抑えることができないだろう。これらの案は、武力使用案に比べ短期的に顕著な成果を出すことはできないが、イスラム社会を徐々に変化させて西欧と調和のとれた社会を作っていく軸になるだろう。
イ・ヒス漢陽(ハニャン)大文化人類学科教授
<仏テロ>ISなくしても別の怪物出てくる…怒り・差別の種なくせ(1)