【コラム】もっと早くサムスンが貴重なことに気づいていたら=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.07.12 18:13
文在寅(ムン・ジェイン)大統領の初めての大統領選挙への挑戦の時である2012年9月、慶尚北道亀尾(キョンサンブクド・クミ)の化学工場で4人の死者を出したフッ酸流出事故があった。文候補は事故から10日後に現場に赴き防塵マスクを付け、干からびた唐辛子を見つめる強烈な写真を残した。野党大統領候補として政府の未熟な対応を強調した効果的な動きだった。また、ツイッターに「10日が過ぎたのに首と目がひりひりしていて顔が熱くなった。家に帰ると妻が無意識にそばにやって来て咳込んだ」と書いた。本人はそう感じただろうが、この短い投稿は現場に行ってきた人の隣に行くだけでも咳が出るほど危険な毒性が無差別的に広がっているというようなフッ酸噂話につながった。
日本が強制徴用工判決に対する報復措置として韓国半導体に照準を当て輸出規制に乗り出した3つの主要素材の1つであり、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長は文大統領の青瓦台(チョンワデ、大統領府)への呼び出しも拒み、日本に急いで飛んでいき確保に乗り出したそのフッ酸だ。
亀尾流出事故は事故や収拾過程で作業の規則を十分に守らなかったため起こった後進国型人災だった。フッ酸自体よりも管理監督システムの問題だった。なのに、有力政治家の誇張された表現で、ただでさえ不安な被害地域の住民はもちろんのこと、全国的にフッ酸の恐怖を助長した。フッ酸が猛毒の化学物質なのは事実だが、揮発性が強く10日も空気中に残るはずがないというのが当時の専門家の見解だったのだが。