日本漫画家のいがらし氏、韓国読者と会う…「若者よ、今そのままの姿でも大丈夫」(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.06.21 14:55
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1986年から漫画『ぼのぼの』を33年間連載している漫画家のいがらしみきお氏(63)。
『ぼのぼの』は本当に退屈な漫画だ。粟のように小さな目を持つラッコのぼのぼのは表情の変化がほとんどない。慌てる時にただ汗を流すだけで、よっぽどのことがない限り怒ることさえしない。劇的な事件があるわけでもない。「春はどこから来るのか」という質問のように、流れる雲をつかむように周りのすべてのものに好奇心を示す主人公ぼのぼのがその答えを探していく過程が主な話の流れだ。
このような漫画が30年以上にわたって愛されている。1986年、日本で連載が始まった直後から注目を浴び、本は今まで世界で1000万部以上売れた。韓国では95年にコミックスで初めて紹介され、その後はアニメーションで放映されるなど根強い人気を呼んだ。『ぼのぼの』の物語を中心に、自分の考えを綴ったキム・シンへ作家のエッセイ集『ぼのぼのみたいに暮らしてるって、いいですね』(Dasan Books)も、昨年の出版以降、すでに第20刷(14万2000余部以上)を数えた。
この退屈な漫画がこのように愛されている理由が何か。先週、サイン会のために訪韓した漫画家いがらしみきお氏(63)とソウル合井洞(ハプチョンドン)で会い、このような質問からぶつけてみた。すると、いがらし氏は「ほとんどの漫画の主人公が『自己否定』を通じて成長する話を描いている。ところがぼのぼのはそうではない。それが読者に気に入ってもらえたのではないかと思う」と言った。漫画『ぼのぼの』は「今のあるがままの姿でいいよ」とずっと語りかけてくれる。「歌手になりたい」と歌うぼのぼののシマリスの友達「シマリスくん」(韓国では「ポロリ」)に、アライグマの友達アライグマくん(韓国では「ノブリ」)はこのように言う。「オレにはなりたいものがこれといってない。オレはオレだ。お前は今の自分に対する不満のせいで何かになりたいんだ」。