【コラム】ゴルディアスの結び目を解く韓国版アレクサンドロスは?
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.05.17 18:17
崔仁勲(チェ・インフン)氏の小説『広場』の主人公イ・ミョンジュンはうんざりする理念対決に幻滅を感じている。捕虜収容所から解放された日、敵対して戦う南と北を後にして中立国家行きを決意する。事実、イ・ミョンジュンが絶望したのは血まみれの2つの勢力の対決、その裏側に隠された邪悪な素顔だった。仁川(インチョン)桟橋から北へ密輸船を斡旋してくれた立ち飲み屋の主人を受胎告知の天使と思っていた彼だ。愚かにも「海水を1杯の不死の水に変えてくれる魔術師の言葉」をすぐに信じ込み、イ・ミョンジュンは何でも叶えてくれそうなきらびやかなスローガンが実は「権力とは薬を売りつけようと言葉でだました謀」であることを見破る。選択の分かれ目、イ・ミョンジュンは2つの祖国を否定することでついに窒息しそうな現実から脱出しようとした。彼の叫びが耳を打つ。
「韓国の政治の広場には糞尿のゴミばかり山のように積もっている。皆のものであるべき花を折り自分の家の花瓶に挿し、噴水の蛇口を外して自分の家の便所に設置する」