【コラム】文在寅印の新北方政策、「日本の事例」から教訓を

【コラム】文在寅印の新北方政策、「日本の事例」から教訓を

2017年09月15日15時30分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  ロシア極東最南端の沿海州は思ったより近い。飛行機で2時間40分なら行ける。シベリアの果てにくっついている凍土の地だと思われているが、実際行ってみるとそうでもない。山には針葉樹がうっそうと茂り、あちらこちらには果てしない平野が広がっている。現代重工業はこの地に豆ととうもろこしで青い地平線が広がる農場2カ所を経営している。ウスリースクにある現代Khorol農場は2009年に初めての種まきをし、来年になれば10年目になる。昨年そちらで会った農場関係者は「ここに来て10年が過ぎようとしているが、それでもロシアのことはよく分からない」という感想を打ち明けた。

  文在寅(ムン・ジェイン)大統領が最近、ウラジオストクの東方経済フォーラムで第一歩を踏み出した「新北方政策」も、今後、成果を挙げていこうとするならこれら農場のように永い歳月を送ることになるかもしれない。韓露経済協力をテコに北核を防ぎ、北朝鮮を対話の場に引き出すという構想は鼓舞的だが、クレムリン宮の扉を開けるのは容易ではないためだ。

  文大統領はウラジーミル・プーチン大統領に「北核を止めさせられる指導者なので、強力な役割を果たしてほしい」と説得したが、「感情に駆られて北朝鮮をコーナーに追い詰める必要はない」という冷たい回答を聞かなければならなかった。プーチンはむしろ在韓米軍撤収を含めた自身の「北核3段階ロードマップ」を逆提案した。文大統領としては行き詰まる思いだったに違いない。新北方政策に含めた経済協力プレゼントのふろ敷包をプーチンが快く受け取らなかったからだ。「ナインブリッジプロジェクト」と呼ばれる経済協力案は、ガス・鉄道・電力・北極航路・造船・公団建設・農業・水産・北朝鮮協力など全方向にわたるロシア投資案だ。だが、プーチンの反応は冬のシベリアのように冷たかった。ロシアは経済協力を望んでいるが、急ぐ理由はないと考えているためだ。

  ロシアの立場では沿海州開発は緊急な課題だ。ロシア語でプリモルスキー(沿岸+海)と呼ばれる沿海州はモスクワからシベリア横断鉄道(TSR)で9288キロ離れた遠い不毛の地だったが、1860年の北京条約でロシアの領地となり、地政学的要衝地となった。ここに不凍港を確保することによって北東アジア進出の橋頭堡を構築したのだ。最近では韓日中との経済協力を摸索するための経済的要衝地としても浮上している。

  ロシアの悩みは韓半島(朝鮮半島)の28倍に達する極東のこの地の人口が600万人に過ぎないという点だ。しかも人口1億人を越える中国東北3省と陸路往来が頻繁になり、中国からの経済力隷属も心配の種になっている。このような問題を解消しようと、プーチンは執権以来新東方政策に力を入れてきた。2012年アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議をウラジオストクに誘致して6793億ルーブル(約1兆2900億円)を投じて沿海州の交通と都市インフラを大幅に拡充した。韓日中が作り出す北東アジア経済圏に備えて沿海州をロシアの経済首都にするという構想を実践しているのだ。海外資本の誘致は必須だ。安倍晋三首相はこの点に着眼して経済協力をテコに北方領土の返還を推進してきた。昨年はプーチンと16回会ったが、骨折り損に終わった。ロシアとしては韓日中が先を争って求愛してきているので、あえて急ぐ理由はない。北核には反対するが「レッドライン」さえ越えなければ現状維持でも良いという、ゆったりとした立場だ。

  文大統領の新北方政策はこのような状況を広く考慮に入れなければならない。羅津(ナジン)-ハサン公団造成をはじめとするナインブリッジプロジェクトに20億ドル(約2210億円)の基金が動員されるということもあり、性急に推し進めるべきではない。焦れば片思いだけを繰り返すことになる。事実、韓露経済協力は1997年両国の経済科学技術共同会の設置以降、20年間にわたって推進されてきたがこれといった進展はない。政府が変わるたびに雷のように推進して進展がなければすぐに無関心になり背を向けてきたからだ。

  そこで今必要なのが持続性だ。現代農場のように投資し続ける時、関係を篤実にして実を結ぶことができる。文在寅印の新東方政策はすぐに結果を取ろうとせず、ロシアの新東方政策のように百年大計の視野に立ってアプローチするよう願うのはこのためだ。

  キム・ドンホ/論説委員
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