【時視各角】危機説が危機を防ぐ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.05.17 14:23
選挙の季節に経済危機説について話すことには用心深くなる。最近のように、第1野党が政府・与党の経済実情をおおっぴらに攻撃ポイントと捉えている時にはなおさらだ。うまく聞いてもらえれば何より、「野党の選挙運動でもしてやっているのか」という皮肉さえ聞かなければいい。それでも危機説を唱えざるをえない。危機説は身体の異常信号を知らせる健康検診と同じだ。無視して隠して病気を重くすれば百薬が無効にもなりかねない。危機説こそ危機を防ぐ最上の盾といえる。
家計負債が良い例だ。家計負債危機説が初めて登場したのは2002年ごろだ。当時の李瑾栄(イ・グンヨン)金融監督委員長は、私席で「家計負債が韓国経済の雷管になる」と心配した。「通貨危機よりも大きな衝撃が襲うかもしれないとも述べた。ちょうど家計負債が400兆ウォン(現レートで41兆円)を越えた時だった。その時から家計負債との戦いは歴代金融監督トップの初任務となった。
それから15年が過ぎた。家計負債は1500兆ウォンを越えた。国内総生産(GDP)の94.4%だ。世界経済フォーラム(WEF)が警告した危険水準臨界値(75%)はもちろん、経済協力開発機構(OECD)平均(76%)よりも20%ポイントも高い。質も悪くなった。多重債務者が大きく増えて第2金融圏の借金も雪だるま式に増えた。それでも今度こそ来ると言われた家計負債発金融危機はまだだ。金融当局や韓国銀行は依然として「管理可能な水準」と言う。なぜか。危機説が構造改革と体質改善の足がかりになったためだ。金融当局は融資規制や借金取り消しを通じて負債のコントロールに努めてきた。銀行には強力なストレステストを受けるようにさせた。満足するほどではないが、一気に危機に陥ることだけは食い止めてきたことになる。金融研究院は住居価格が30%急落しない限り、家計負債が金融システムの危険には波及しないとみている。