<韓国中学生リポート>「ロールモデルを探せというが…誰もいない」(1)

<韓国中学生リポート>「ロールモデルを探せというが…誰もいない」(1)

2013年09月25日14時12分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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慶煕大と中央日報の共同人格指数調査で中学生の41.8%が「道でお金を拾っても持ち主を探さない」と答えた。「自分も失えば戻ってこないのに、なぜ持ち主を探さなければいけないのか」「拾った人が持ち主」「どうせ誰かが拾って自分のものにするお金」などの反応を見せた。写真は演出された状況。
  慶煕大の教授7人と中央日報の記者で構成された特別取材チームは、6月から3カ月間、ソウル・京畿道地域の中学生・教師・保護者、計119人に深層インタビューをした。中学生の人格について調べるためだ。取材チームはこれを効果的に読者に伝えるため、インタビュー内容をナレーティブ形式で再構成した。

  4時間目の体育、協同パフォーマンスの時間。1人が真ん中に立ち、残り2人の真ん中の人の手を握って両側に傾き、扇形をつくる。次は、一人が騎馬姿勢になり、もう一人がその人の太ももの上に立ち、お互い手を握り合ってバランスを保つ。インホ(中学2年)の組は最初の扇形は2回目、2つ目の姿勢は4回目に成功した。大変な応援だった。親指を立て、ハイファイブをした。

  ◆楽しいのは体育だけ…

  インホは他の授業に興味がなかった。中学2年になると、なおさらそうなった。しかし体育の時間だけは好きだった。体を動かすのがよかった。チームを組むのも楽しかった。目の合図だけで通じ合ったし、誰かがミスをすれば「大丈夫、大丈夫」と励ました。運動場ではみんなが一体となった。

  教室に入れば変わった。“不良生徒”が活躍する昼休み、暴言が飛び交う休み時間は言うまでもなく、授業時間にも教室は荒れていた。先生の言葉に集中する生徒は10人程度。うつ伏せになって眠る生徒、塾の宿題をする生徒、こっそりとスマートフォンで成人向け動画を見る生徒もいる。先生が板書する間、生徒が両手をあげてフラッシュモブをすることもある。インホは爪をかみながらノートを開いた。「母さん、僕は勉強に向いていないようだ」。インホは授業時間に手紙を書いたりする。10年後に母さんに送る手紙…。

  5、6時間目は移動授業。5階の技術室に集まった。技術科目の中間考査は、組別にストップモーション映像を制作する課題で評価される。「今回は4人1組で、お互い協力して映像を作ってみなさい」。先生は出席番号を呼びながら無作為に組分けした。その度に歓声があがった。ため息をつく生徒もいた。インホの組にある友人が入ると、みんな一斉に叫んだ。「あいつ、また無賃乗車だ」。インホはつぶやいた。今回も2、3人は遊んで過ごすだろう。どうしようもない。説得することもできないし、説得したところで聞く奴でもない…。

  終礼の時間に先生が出席番号10番から15番まで残るようにと告げると、また大騒ぎになった。「塾に遅れると大変なことになる」。みんな掃除をすることより、塾に遅れるのを嫌がる。先生が賞罰点カードに記録すると言うと、静かになった。家に帰ってから行こうかとインホはためらったが、そのまま塾に行くバスに乗った。スマートフォンが鳴った。昨年、江原道から転校してきた友人が写真を送ってきた。話を聞いていた洗足式の姿だった。友人は父親と肩を組んで笑っていた。インホは窓の外を見た。うちの父はどんな足をしていたっけ。

  小学校の夏休みに一緒にプールに行ったが、父の足は思い出せなかった。母の瞳は? 姉の手もきちんと見たことがない。インホはスマートフォンで自分の顔を撮った。そして目と鼻・口・耳を一つひとつ拡大してみた。初めて見るような顔だった。

  インホは4人家族だ。49歳の父、43歳の母は共働き、3年上の姉は高校生だ。インホが小学校に通う頃、家族は一緒に過ごす時間が多かった。しかし父の職場が変わり、姉が高校に入ると、すぐに家庭の雰囲気は変わった。教育費が問題だった。父の月給では塾代を払う余裕がなかった。コーヒーマニアだった母がコーヒー店をオープンした。家族の帰宅時間が遅くなった。インホは口数が減り、姉は母との口げんかが増えた。社会福祉業務の担当になった父はいつも疲れている。確かその時からだった。インホは爪をかみ始めた。

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