【社説】トランプ氏の勝利で二重の危機を迎えた大韓民国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.11.10 07:49
悪夢が現実になった。昨日終わった米国大統領選挙でドナルド・トランプ共和党候補が民主党のヒラリー・クリントン候補を抑えて第45代米大統領に当選した。公職経験が一度もない政治アウトサイダーが世界最強大国の米国の次期大統領になったのは常識と通念を破る大異変だ。財閥トップでわいせつな言動と毒舌、奇行を繰り返したトランプ氏が合衆国の最高指導者に選出されたのは「ブレグジット(英国のEU離脱)」とは比較にならない大事件だ。
「黒い白鳥(Black Swan)」のようなトランプ氏の勝利は、政界に対する米国有権者の不信感がどれほど大きく深いかを克明に表した。新自由主義とグローバル化の波で流され、恩恵から疎外された低学歴・低賃金白人勤労者階層の積もった不満が、トランプ氏という「異端児」を通じて革命のように爆発した様相だ。庶民の心を正確に読み取れない主流政界と主流メディアの盲点もそのまま表れた。1人1票に立脚した手続きを踏んだ民主主義の限界と西欧式民主主義の危機をめぐる論争がさらに激しくなるしかない。
クリントン氏の当選を期待した全世界が大きな衝撃に包まれ、当惑している。第2次世界大戦後に維持されてきた米国中心の政治・経済秩序の不確実性が高まり、世界はこの先を予想するのが難しい混沌に陥った。トランプ氏は「米国優先主義(America First)」を主張し、新孤立主義と保護主義的な性向を見せてきた。その波紋がどこまで及び、どこに飛び火するのか予測しがたい。