【コラム】「米朝首脳会談」 シンガポールの失敗、ベトナムの憂慮
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.01.23 14:42
昨年11月27日、米ホワイトハウスのオーバルオフィスにトランプ大統領とワシントンポスト(WP)の記者2人が机を挟んで向かい合った。インタビューを終えて席を立つ記者に突然、トランプ大統領はこう話した。「金正恩(キム・ジョンウン)が私に送ってきた大変な親書を一度見てみないか」。親書を取り出したトランプ大統領は「あそこのソファに座ってゆっくりと見なさい」と語った。記者が親書(昨年9月末に安倍首相に自慢した親書である可能性が高いが、その後の非公開親書の可能性もある)を見ている間、オーバルオフィスには多くの人が出入りを繰り返した。トランプ大統領は対話をしながらも、途中に何度も記者らに向かって「どうだ、すごいだろう」を話したという。これは何を意味するのか。一国の指導者の親書を、それも普段は「フェイクニュースだ」と激しく非難するWPの記者に自慢して見せたトランプ大統領の行為は常識では理解しがたい。しかしそれをなんともなくするのがトランプ大統領だ。忠告して引き止めても変わらない。北朝鮮の核問題も同じだ。したがってさらに大きな問題だ。
「2月末の2回目の米朝首脳会談」は予想された流れだ。誰よりもトランプ大統領が強く望んだ。シャットダウンが1カ月を超えた。経済指標も尋常でない。トランプ大統領に直撃弾となるモラー特別検察官の捜査発表も迫っている。支持率は39%まで落ちた。何らかの「勝利」が必要な、緊迫した状況だ。
問題は「失敗作」だったシンガポール会談当時と現状況が非常に似ている点だ。当時、トランプ大統領が時期を「トップダウン」で決めた後、やや遅れてソン・キム-崔善姫(チェ・ソンヒ)実務ラインが慌ただしく動いた。急ぐ米国に余裕の北朝鮮は譲歩するはずがなかった。今回も一歩遅れてビーガン北朝鮮担当特別代表-崔善姫外務次官がスウェーデンの山荘で向き合って座り、今後も何度か会うだろうが、結果は大きく変わらないだろう。すでに主導権は北朝鮮が握った。ホワイトハウスを訪れた金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長の態度がそれを象徴している。