【コラム】トランプ、クリントン、そして韓半島(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.05.10 08:10
クリントンが自分の陣営の外交安保責任者として最初に検討した人物は、自分の下で副長官を務めたスタインバーグ・シラキュース大学マックスウェル行政大学院長だった。しかし最終的に抜てきされたのはシャーマンだ。クリントンが大統領になる場合、キャンベル元国務次官補(アジア・太平洋担当)が国務長官として有力視されるという声があるが、それは風説にすぎず、シャーマンが優先順位で断然上であるというのが陣営の事情をよく知る人の話だ。普段とは違うシャーマンの超強硬な対北朝鮮演説に関連し、シャーマンがすでにタカ派「主君」のスタンスに合わせてクリック調整に入ったという評価が出ている。
クリントンが次期大統領になるという保障はない。ドナルド・トランプの異変が本選まで続く可能性も排除できない。すべてのものをお金で計算するトランプの「ビジネス外交」や「米国優先主義外交」が現実化する場合、第2次世界大戦以降に米国が築いてきた米国中心の国際政治・経済秩序は大混乱に陥るしかない。韓米同盟の根幹が揺れ、独自の核武装論がさらに勢いづく可能性もある。そのような事態に備えるべきだという言葉は正しいが、理性と良識に対する信念まであきらめる必要はない。米国の民主主義がいくら危機だとしても、トランプのような非適格者が大統領になる可能性は高くないと見なければいけない。
それよりはクリントンの超強硬な対北朝鮮政策に備える必要がある。圧力一辺倒の対北朝鮮政策で北朝鮮政権が崩壊し、それにより核問題も自動で解決すればどれほどよいだろうか。しかし北朝鮮の核問題に取り組んできた過去25年の歴史は、そのような期待が虚しい夢であることも見せている。制裁と圧力で貴重な時間を過ごし、韓国と米国に対する北朝鮮の核脅威が目の前の実体的な現実となる「真実の瞬間」を迎えないか心配だ。