中国・日本にはなく朝鮮だけにある民画、文字図・冊巨里
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.07.20 09:38
1/2
冊架図、六曲屏風(部分)、紙に彩色、各133X53.5センチ、18世紀後半、サムスン美術館リウム所蔵。(写真=芸術の殿堂・書道博物館)
フランス人類学者シャルル・ヴァラ(Charles Varat)が1888年朝鮮民俗品を求めて八道を周遊し、慶尚道密陽(キョンサンド・ミリャン)で小さな文字図屏風を一つ購入した。その日の夜、客使のみすぼらしい部屋に華やぎを添えた屏風に感嘆したヴァラは最初の朝鮮民画評文を書いた。「小品ではあるが、諸般要素が朝鮮人の国家芸術の根本に関する大切な情報なので価値がある。私は『朝鮮人のような野蛮人はいない』と言った某氏の愚かな考えを大いに笑い、深い眠りに入った」。
それから50余年後、日本の民芸研究者である柳宗悦は「朝鮮民画は現代美学理論では解釈できない不思議な美の世界を持っている」と感嘆した。中国にも日本にもない朝鮮の文字図・冊巨里は宮中から始まったものだが、次第に民間にも広まって民画文字図・冊巨里として生まれ変わり、儒教の根本である「孝弟忠信礼義廉恥」が描かれるようになった。絵と文字、構想と抽象が民話を取り込みながら一つになり、世界美術史にはない独自の国民美術が誕生した。
ソウル芸術の殿堂・書道博物館が再開館記念展IIとして企画した「文字図・冊巨里」展はこのような歴史の実体を確認する場所として観覧客の心を引きつけている。本立てに本やメガネ、文房四宝(紙、硯、筆、墨)や花瓶などさまざまな器物を描いたものを冊架図、本棚はなく本や各種器物を描いたものを冊巨里という。国立中央博物館、サムスン美術館リウム、現代画廊など韓国内の主要博物館や画廊20カ所余りの所蔵品のうち、18~20世紀の文字図・冊巨里の傑作58点が展示されているが、未公開作が多いため専門家からの反応が熱い。