【コラム】キム・ヨンファン、東アジア型の人間の道=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2012.08.13 12:04
キム・ヨンファンが輝いているのは真実の前で信念を裏切ったことにあります。キム・ヨンファンは北朝鮮の真実の前で分派的民族主義を捨てました。信念は絶対的に守らなければならず裏切りは決してしてはならないでしょうか? 違うと考えます。信念が偽りに基づいたことを知った時は裏切れます。真実にまさる価値はありません。事実は神聖です。キム・ヨンファンが向き合った真実は3種類でした。(1)89年にソ連を筆頭に連鎖的に広がった共産主義国家の没落(2)91年に北朝鮮に密入国して2回会った金日成との対話(3)92年以後96年まで集中的に発生した脱北者の証言。
平壌(ピョンヤン)放送がキム・ヨンファンを裏切り者として処断すると発表した8月1日、私はキム・ヨンファンと夕食をともにしました。彼は自身が出会った北朝鮮の真実を、飢えと残酷さ、2つの単語に要約しました。金日成・金正日(キム・ジョンイル)政権の北朝鮮が韓国の第5共和国や維新政権よりはるかに残酷で、はるかに不公平だという事実を悟った後、過去の信念を捨てないわけにはいかなかったといいます。彼はイ・スンオクという脱北女性が96年にした証言も私に聞かせました。「ある女性が飢えた子どもたちに食べさせようと畑からこっそりと大根を持ってきたところを見つかり教化所で服役した。この女性は両親なく残された子どもたちが心配で教化所で泣いていたが首領と党を信じることができないという理由で銃殺された」という話です。キム・ヨンファンは経済事情が厳しかった韓国の数十年前でもこうしたことはなかった、世界のどんな貧しい国でもこうしたことは起こらないという考えに至ったといいます。