<MovieBlog>映画『硫黄島からの手紙』で欠けているもの
1945年2月19日朝、太平洋の小さな島、硫黄島に米軍が電撃的に上陸、静かだった島は一瞬のうちに阿鼻叫喚の現場に変わります。
日本本土を爆撃する飛行場を確保しようとする米軍とこれを阻止しようとする日本軍の戦闘は「第2次世界大戦最高の激戦」という修飾語は嘘ではありません。戦闘は以後、1カ月ほど続き、両方で2万人ほどの死傷者を出しました。
ハリウッドの巨匠、クリント・イーストウッド監督は、この戦闘を背景に2本の映画を作りました。米軍の目で見た『父親たちの星条旗』と日本軍の立場で描いた『硫黄島からの手紙』です。映画的完成度もすぐれていますが、1つの歴史的な事件を互いに違う視線で同時に映画にしたことは、イーストウッド監督の独特でフレッシュな試みでした。