【コラム】1988年のソウル、2018年の平壌…感動という名の人権蹂躪
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.09.21 13:57
ソウルオリンピック(五輪)30周年を迎えてKBS(韓国放送公社)が最近放映したドキュメンタリー『88/18』がここ数日間、SNSで断トツの話題だった。88オリンピック前後の韓国社会を批判的に扱ったこの実験的なドキュメンタリーに対し、「軍事独裁反逆者KBSの自己反省」「久しぶりに感じた受信料の価値」と賛辞を送りながら、その時代の韓国を嘲弄するコメントがあふれた。韓国がオリンピックを招致した直後、ある競技場に登場した全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領夫妻の顔を再演したカードセクション、開閉幕公演のために運動場で体操の練習をする幼い少女たち、そして「レスリング協会長」の名札をつけて座っている若かりし頃の李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン会長などが登場する場面一つ一つを復碁しながら、国が特定の目的(オリンピックの成功的開催)を成し遂げるために個人を抑圧して企業を動員する姿に身震いした。「これがたった30年前とは、考えただけでもぞっとする」と言いながら。
わずか数日前だけでも、このように国家の強制動員に激しく怒りをあらわにしていた人々が突如として豹変した。平壌(ピョンヤン)を訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領夫妻が9月19日夜、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長ら企業家を同行して北朝鮮のマスゲーム『輝く祖国』を観覧してからだ。5歳の子供をはじめ、幼い児童ら10万人余りがまるで一つの体のように一糸不乱に動く姿を見ても、おかしいと思うどころか「胸が熱くなった」「ジーンとした」などと言って感動にむせんだ。一晩のうちに逆転したこの急激な温度差に当惑する状況だ。1988年のソウルはそれほどまでに寒気を催すのに、2018年の平壌はこのように美しいという大韓民国の人権感受性とはいかに。