【時視各角】北朝鮮を「第2のサウジ」にするのか

【時視各角】北朝鮮を「第2のサウジ」にするのか

2018年10月24日14時20分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  次のうちトランプ米大統領が最も好きな国はどこですか。(1)日本(2)韓国(3)北朝鮮(4)サウジアラビア。

  ワシントンの正答は(4)だ。なぜか。トランプ大統領が2015年8月に大統領選挙の遊説でした演説に答えがある。「サウジアラビア、私は彼らのすべてとうまく付き合っている。彼らは私のアパート(トランプタワー)を買う。4000万、5000万ドルを使う。私が彼らを嫌う理由はない」。

  そして就任後。トランプ大統領は周囲の予想を覆し、最初の訪問国にサウジアラビアを選択した。そのトランプ大統領にサウジアラビアは1100億ドル(約12兆円)という歴代級の武器購買をプレゼントした。トランプ大統領はすっかり心を奪われた。オバマ大統領など歴代米大統領が取り上げてきたサウジアラビアの人権問題には一言も言及しなかった。

  8月の米国の対応は衝撃だった。サウジアラビアが自国の人権運動家15人を逮捕すると、国際社会を代表してカナダが立ち上がった。するとサウジアラビアはカナダに貿易凍結、航空路線の閉鎖などで報復した。当時、米国務省の記者会見で米国の記者が尋ねた。「なぜ米国は沈黙しているのか」。ナウアート報道官の返答はこうだった。「双方が外交的に処理すればよい。私たちにはできることがない」。米ロビー企業に年間2730万ドルほどばらまくオイルマネーを人権よりも優先した。トランプ大統領の放置はサウジアラビアの放縦を招いた。

  サウジアラビアのジャマル・カショギ記者殺害事件はその結果だ。サウジアラビアの対応は国際社会を愚弄している。「領事館から自分の足で出て行った」と言っていたが、その後「争いがあって死亡した」と話した。「王室とは全く関係がない」と主張しているが、現場要員と皇太子室の責任者が当時4回も電話をした事実が暴露された。「代役」にカショギ記者の服を着せて領事館から出ていくようにしたことも明らかになった。それでもトランプ大統領は「サウジアラビアの説明は信頼できる」という。

  その反動は「とんでもない」形で北朝鮮に向かう可能性が高い。ワシントンでは「北朝鮮の人権を放置すれば『第2のサウジアラビア』のようになる」という声が高まっている。「オイルマネー」を理由にサウジアラビアを持ち上げる事態が今のような状況をもたらしたように、「核」を理由に北朝鮮の人権を放置すれば、北朝鮮を「北東アジアのサウジアラビア」にしかねないという懸念だ。実際、叔母の夫(張成沢氏)を機関銃で銃殺し、異母兄(金正男氏)を国際空港で神経作用剤VXで毒殺し、政治犯収容所に8万-12万人(米国務省の報告書)を拘禁する国の人権じゅうりんはサウジアラビアよりましだとは言えない。

  トランプ大統領はカショギ氏事件で人権に背を向ける大統領でないという点を見せるべき局面に追い込まれている。北核交渉で人権問題を取り上げる、いや取り上げなければいけない状況を迎える可能性がある。人権を最優先する民主党が中間選挙で下院を掌握すれば、その可能性はさらに高まる。

  文在寅(ムン・ジェイン)大統領は最近、英BBCのインタビューで「もともと人権弁護士なのに、世界的な人権弾圧国の指導者と握手して抱擁するのはぎこちなくなかったのか」という質問にこのように答えた。「国際的に圧力を加えたからといって人権増進の効果がすぐに表れるわけではない」。「協力」を通じて北朝鮮を正常国家にするのが優先だという主張をした。どれほど説得力があったかは分からない。今回のサウジアラビア事態は、圧力がない人権改善はなく、人権改善のない正常国家はないということを全世界に示した。北朝鮮も例外にはならない。

  我々が北朝鮮に脅威を感じるのは単に北朝鮮に核があるからだけではない。無慈悲に人権じゅうりんをする政権が核を保有しているためだ。その事実を忘れてはいけない。北核交渉で人権問題が後回しされてはいけない理由を今回サウジアラビアが見せた。

  金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
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