「どうせ捜査が最終段階だったので大きな問題はありません」

「バーニング・サン」事件を捜査しているソウル地方警察庁のある高位関係者は１５日、ＢＩＧＢＡＮＧの元メンバー、Ｖ．Ｉことイ・スンヒョン容疑者に対する拘束令状が棄却されたことに対する記者の質問にこのように答えた。

他の捜査関係者も似たような反応だった。だが、核心被疑者の身柄確保に失敗した警察の雰囲気は落ち込んでいた。警察の本来計画はイ容疑者の拘束をきっかけに「警察総長」と呼ばれていたユン総警やイ容疑者、チョン・ジュニョン容疑者（３０、拘束）など、いわゆる「団体チャットルームのメンバー」間癒着疑惑に対する捜査結果を発表するということだった。癒着疑惑の捜査が不備だったという指摘をイ容疑者の拘束で挽回するつもりだった。

だが、この日、警察は「裁判所の判断を尊重し、すぐに棄却理由を分析する」という立場を先に明らかにしなければならなかった。その後、ユン総警を職権乱用疑惑で検察に起訴意見で送検すると発表した。ユン総警は２０１６年７月、イ容疑者が運営に参加していたソウル江南（カンナム）居酒屋「モンキーミュージアム」が食品衛生法違反問題で取り締まられると、事件担当者に捜査事項を尋ねる方式で関連内容を漏洩させた疑惑が持たれている。

警察はユン総警がイ容疑者と同業者であるユ・インソク前ユリホールディングス代表からゴルフと食事接待を受けたという事実も確認したが、賄賂や請託禁止法〔金英蘭(キム・ヨンラン)法〕違反疑惑は適用しなかった。ソウル庁広域捜査隊は「収賄罪を適用するための代価性を認めることが難しく、請託禁止法処罰基準の金額〔１回１００万ウォン（約１０万円）、または１年に３００万ウォン〕も超えなかった」と説明した。ただし、警察はユン総警が接待を受けた事実が確認されたため、懲戒の手続きを始める予定だ。これでユン総警と「バーニング・サン」クラブ関係者との癒着疑惑捜査は事実上終了した。イ容疑者に対する捜査も令状棄却で動力を失った状態だ。

このため「無理な拘束試みだった」「タイミングを逃がした」という自省の声が警察内部からも聞こえている。警察関係者は「拘束の主な理由の中の一つは証拠隠滅と逃走の恐れがあるということだが、イ容疑者がこの部分に対して事前対応を徹底して行ってきたようだ」と話した。

実際にイ容疑者は今回の事件が浮上してから１８回にわたって警察の召喚に応じた。この他に、ユン総警との食事に関する現場調査にも警察と同行して嘘発見器調査を自ら要望するなど、捜査に積極的に協力する戦略をたてた。このような事前対応が令状棄却の判断に反映されたとのことが警察の暫定的な判断だ。一方では「何でもしなければ」という態度の捜査がイ容疑者に対する無理な令状申請につながり、結局棄却されたという分析もある。ある警察関係者は「少なくともイ容疑者を拘束させて捜査を終わらせてこそ世論の批判を浴びないだろうとも思ったかもしれない」と打ち明けた。