公共政策レベルで見れば憂慮しうることだ。韓国に対する専門性は、韓国の民主化・核拡散・経済成長・外交政策などのイシューで必要だが、米国大学の韓国学は、これらのイシューとは距離がある。韓国関連の問題が出てくれば、メディアはこうしたイシューについてよく知らない近隣大学の教授に意見を求めるほかはない。「普段から新聞を読んで韓国の状況を把握していれば、政策問題についての意見を出すのも難しいことではない」というふうに考える人々もいる。公共政策に対する理解が全くないために、そのような話が出る。時事問題ではない。韓国の国内政治・権力構図・歴史・心理学・国際機構などについての政策分析が必要だ。さまざまな社会科学分野についての知識と政策決定の実務経験も必要だ。

韓国に関する政策専門家たちの数が不足しているので、韓国に対する大衆の理解は韓国学の教授職が生じ始めた２０年前と変わらない。例えば米国の場合、韓国についての世論調査をしてみると回答の内容が以前と似ている。すなわち韓国については一般的に肯定的だが、韓国についての知識水準はとても低い。韓国に対する好意的だが表面的な理解は政策決定者の観点から見れば危険だ。ＢＳＥ（牛海綿状脳症）デモのように、韓米関係に思いがけない状況が展開すれば、米国の世論は急速に悪化する恐れがある。

こうした状況を打開する１つの方法は、公共政策についてよりよく理解する次世代の韓国専門家たちを養成することだ。私は南カリフォルニア大学（ＵＳＣ）のデビッド・カン、マンスフィールド財団のフランク・ジャヌージとゴードン・フレイク、キャサリン・スティーブンス元駐韓米国大使とともに、このためのプロジェクトを進めた。私たちは米国内で最高の重鎮学者１２人をワシントンＤＣに招いて政策決定者・言論人・シンクタンク所属の専門家たちに会った。各大学に戻って政策問題についてよりよく答えられるよう助け合うためであった。

世界が韓国をよりよく理解するようにさせるには、どのようにすべきだろうか。単にＫ－ＰＯＰや韓国テレビドラマの成功に安住して、世界が韓国について好意的に思っているからと楽観してはいけない。また韓国の国会議員は国際公共外交プロジェクトにかかる費用を惜しんではいけない。

世界が韓国についてよりバランスの取れた、洗練された理解をするよう努力しなければならない。日本はかなり以前に、そのような必要性があることを学んだ。韓国は小さい国だから、そんな必要性があまりなかったのだろうか。違う。韓国は覇権国ではないので、韓国というブランドを世界により一層熱心に知らせなければならない。

ビクター・チャ　米国ジョージタウン大学教授


【コラム】グローバル韓国学がしっかり根付くには（１）