<大リーグ>グッバイ、イチロー…この時代の最後の芸術打者

<大リーグ>グッバイ、イチロー…この時代の最後の芸術打者

2018年05月15日13時02分
[ⓒ ISPLUS/中央日報日本語版]
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  4日、メジャーリーグのシアトル球団はイチロー(45)を球団特別顧問に任命すると発表した。2018シーズンを控えて「古巣」シアトルと契約したイチローの挑戦は15試合(打率2割5厘)で幕を下ろすことになった。

  イチローの引退はこの時代の真の芸術打者との別れを意味するようだ。「芸術打者」という言葉は存在しない。しかしイチローの全盛期を振り返ると、テッド・ウィリアムズの有名な著書『3割の芸術』から「芸術」という言葉が思い浮かぶ。イチローはロッド・カルー、ウェイド・ボッグス 、トニー・グウィンらの後に継ぐメジャーリーグの左の「巧打者」系譜の最後の選手だ。

  もちろん今でも毎年3割を超える打率をマークし、打撃ランキングの上位に名を連ねる打者がいる。ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン)、マイク・トラウト(LAエンゼルス)のような選手たちだ。全盛期が過ぎたが、アルバート・プホルス(LAエンゼルス)、ミゲル・カブレラ(デトロイト)のように高打率と共に多くの本塁打を打った選手もいる。彼らも偉大な打者であり、優れた打撃技術を誇る。しかし左打者で神技に近いバットコントロールで打球を自由自在に打ち返す姿を見せながら時代を引っ張った選手は少ない。それでイチローの価値は輝く。

  ロッド・カルーは19年間の選手生活で通算打率3割2分8厘だった。7回も首位打者になった。ボッグスも5回の首位打者と共に通算(18年)打率3割2分8厘の成績を残した。グウィンは8回の首位打者に通算(20年)打率3割3分8厘と巧みな打撃を見せた。イチローも18年間メジャーリーグでプレーし、首位打者2回、通算打率3割1分1厘で選手生活を終えることになった。デビューから10年連続の打率3割・200安打は、イチローの打撃の実力を知ることができる足跡だ。

  特に2004シーズンには262安打をマークした。誰もが不滅の記録と考えていた1920年のジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録を5本も上回った。シーズン最多安打部門トップ10をみると、イチローの記録を除けばすべて1930年以前の記録だ。「打撃の神」と呼ばれたボッグスの個人最多記録が1985年の240安打であることを考えると、イチローの262安打がどれほど大変なものかが分かる。

  イチローが偉大な選手として認められるのは数字上の業績のためだけではない。彼がデビューした2001年当時に戻ってみよう。当時、薬物に依存しながら「本塁打」が量産されていた。シーズンに60本塁打、さらに70本塁打まで出て、リーグを本塁打が主導していた。さらに同じ時代に2大リーグの打撃王だったボッグスとグウィンが衰退または引退した状況だった。

  そのような時代にイチローは芸術的な打撃技術をメジャーで見せ、本塁打とは違う野球の楽しさを提供した選手だ。ベーブ・ルースがメジャーリーグに本塁打の意味と価値を見せて野球のパラダイムを変えたとすれば、イチローは巧みな技術とスピードで野球の基本の楽しみを復活させた選手として認められる。

  イチローが記録した3089安打がすごいのは、メジャーデビューの時期を見ればよく分かる。日本プロ野球でプレーしたため、メジャーにデビューした当時の年齢は27歳だった。一般的なメジャーリーグのスターが20代序盤、早ければ20歳前にデビューして経歴を築いていくことを考慮すると、イチローの累積記録はさらに光を放つ。そのような条件で3000安打を突破したということだ。そして引退の前年の2017年まで毎シーズン136試合以上に出場した。実際、イチローの全盛期は2010年までだ。その後、イチローのシーズン打率は3割を超えていない。主力選手ではなかったが、45歳まで選手生活を続けた。

  多くの選手が挑戦するメジャーリーグのロースターは過去の栄誉と名前だけでは維持できない。チームに役立って貢献してこそ守ることができる。40歳を超えてからもその地位を維持したイチローを普通の選手と比較するのは容易ではない。

  多くの受賞経歴と羅列するのも難しい記録上の数値は「参考」にすぎない。どうやってあのボールを打ち、どうやってあの打球を安打にし、どうやってあの年齢でプレーできたのかが、イチローの本当の価値かもしれない。限りない自己管理と野球愛でファンに技術とスピードの楽しみを与えたイチローは、間違いなくメジャーリーグ史の1ページを飾った選手だ。

  いま私たちはいつまた現れるかも分からない左の芸術打者を待ちながら彼の時代に別れを告げる。「グッバイ、イチロー!」。

  ソン・ジェウ/MBC SPORTS+解説委員
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