◇造船業・建設業より３倍多く受注した電気自動車バッテリー

「電気自動車バッテリーは新エネルギー産業のゲームチェンジャー（市場の地図を変える革新産業）だ」。

産業通商資源部の成允模（ソン・ユンモ）長官が昨年末にＬＧ化学、ＳＫイノベーション、サムスンＳＤＩの代表理事と会った席で言及した言葉だ。

内外の主要電気自動車バッテリーメーカーが年初から電気自動車バッテリー産業に果敢にベッティングしている。世界１位の電気自動車バッテリーメーカーである中国の寧徳時代新能源科技（ＣＡＴＬ）は１７日、ドイツに世界最大１００ギガワット時規模の工場を設立する計画を公開した。既に計画していた工場規模１４ギガワット時の７倍に達する。ＣＡＴＬは７日に初めて日本のホンダと電気自動車バッテリー長期供給契約をするのに成功した。

２０１７年から１位をＣＡＴＬに明け渡した日本のパナソニックも反転を摸索中だ。販売台数基準で世界１位の電気自動車メーカーのテスラが経営上の危機に直面すると独占契約を断念し代案を探した。先月トヨタ自動車とバッテリー合弁会社の設立を発表した。合弁会社はトヨタ、マツダ、ダイハツ、スバルなどトヨタ系列の自動車メーカーに電気自動車バッテリーを納品する。トヨタ自動車は２０３０年までにエコカー販売台数を５５０万台に拡大する計画だ。

韓国企業も足早に動く。ＬＧ化学は先月９日、中国・南京のバッテリー工場増設計画を発表した。２兆１０００億ウォンを投資して第２工場を設立する。ＳＫイノベーションもハンガリーに８４００億ウォン、中国に８２００億ウォン、米国に１兆９０００億ウォンと３兆ウォン以上を投じて生産設備を新増設中だ。昨年からハンガリーのバッテリー工場稼動を始めたサムスンＳＤＩも中国・西安に１兆７０００億ウォンを投資しバッテリー第２工場新設を推進中だ。韓国企業だけで５兆ウォン前後を追加で投じるものだ。

韓中日３カ国の企業が電気自動車バッテリー市場を先導すると、欧州連合（ＥＵ）も資金を放出することにした。フランスのマクロン大統領は「フランスの電気自動車に使うバッテリーが１００％アジアの製品という点は残念だ」としながら今後５年間に７億ユーロを投資することに決めた。ドイツ政府もやはり昨年１１月に１０億ユーロを投じて電気自動車バッテリー生産を支援することに決めている。

◇「いま投資すれば２０２０年には大金を稼げる…先を争って投資」

これら企業や国が先を争って増設競争に飛び込んでいるのは電気自動車バッテリー産業規模が予想より早く拡大しているためだ。電気自動車バッテリーの世界市場は毎年４０～５０％ほど成長している。市場調査会社のエネルギートレンドによると、今年の世界の電気自動車バッテリー市場規模は１５５ギガワット時で昨年の９５ギガワット時より６３％増加する見通しだ。大規模装置産業のうち最近市場規模がこれほど大きくなるのは電気自動車バッテリー産業がほとんど唯一だ。

おかげで電気自動車バッテリー産業はすでに韓国最大の受注産業のひとつに浮上した。昨年の電気自動車バッテリー受注額はＬＧ化学が４０兆ウォン、ＳＫイノベーションが４０兆ウォン、サムスンＳＤＩが３０兆ウォンの１１０兆ウォンと推定される。韓国を代表する受注産業である造船業の３０兆５０００億ウォンや建設業の３６兆１０００億ウォンの３倍を超える電気自動車バッテリーを海外から受注したという意味だ。

ハナ金融経営研究所のイ・ジュワン研究委員は「成長性だけ見れば携帯電話、ディスプレーなど主力輸出産業より電気自動車バッテリー産業の成長が非常に速い」と説明した。

市場の見通しはますます明るい。各国が内燃機関自動車対象の環境規制を強化しているためだ。欧州連合は２０２１年までに自動車１台当たりの二酸化炭素排出量（９５グラム／キロメートル）規制を強化する。米国も乗用車の平均燃費規制と無公害車両義務販売制度を強化するため電気自動車はますます増えるほかない。この時になれば電気自動車バッテリー需要も急騰するが、いま増設すれば２０２０年前後にバッテリーを生産できる。内外のバッテリーメーカーが先を争って増設する背景だ。

また、世界最大市場である中国は２０２０年に中国製電気自動車バッテリーに支給する補助金を廃止する。こうなれば品質の良いバッテリーが中国市場でシェアを拡大できる。中国政府は韓国製バッテリーを装着した電気自動車に補助金を支給していない。

韓国経済研究院のヤン・ウンヨン国家ビジョン研究室課長は「世界的な環境規制強化傾向を考慮すれば電気自動車市場が爆発的に成長できる環境が取りそろった。中国と技術格差を維持しバッテリー市場を先導する戦略モデルを確保しなければならない」と助言した。