改革・開放以後、中国の最も大きな社会的問題の１つは貧富格差だ。国営企業が権力を利用して資本を独占し、私益を得るのはよくあることだ。改革・開放の最も大きな受恵者は権力を利用して莫大な富を蓄積した一部の高位官僚と、彼らと結託した企業家だ。

沸き上がる不動産価格と就職難によって平凡な人々、特に２０３０世代は生まれる時から不公正なゲームに追い込まれた。彼らは自らを「ディアオス」と呼ぶ。「お金がなく、容貌も良くなく、家柄もよくなく、未来が暗い人」という新造語だ。こうした階層は当然、強者に対して胎生的な不満を持つ。こうした雰囲気を掘り下げたのがシャオミだ。

シャオミは粟という意味で「つまらない存在」を称する。雷軍はたびたび「粟と歩銃（小銃）」を強調した。これは抗日戦争の時に毛沢東が叫んだ「粟ご飯に歩銃」をそのまま借りてきたものだ。「私たちは今、たとえ小さくつまらないものでも、いくら強い敵だろうと決して恐れない」という精神を含んでいる。雷軍はこのような精神を前面に出して若者たちを覚醒させた。

その結果、シャオミは熱い血を持つ貧しい若者たちに大人気を呼んだ。実際のシャオミの根っからのファンである「米粉」は、品質改善からマーケティングまであらゆる分野で参加している。シャオミの広告文句は「シャオミ（小米）とミポン（米粉）が共に手を組んで、堂々と出て行こう」だ。変化の流れを貫いたシャオミの成功は、偶然得られたものではないのだ。

陳莉　国立外交院・元専任講師…１９７９年中国審陽生まれ、瀋陽師範大学卒業。淑明（スンミョン）女子大博士課程修了。韓国に来た後、主にビジネス中国語を教えてきた。（中央ＳＵＮＤＡＹ第４０３号）


【コラム】シャオミ症候群の秘訣（１）