【時視各角】鼻血戦略を阻止したビクター・チャ氏を「サッカンモル報告書」を書いたと批判する韓国

【時視各角】鼻血戦略を阻止したビクター・チャ氏を「サッカンモル報告書」を書いたと批判する韓国

2018年11月21日16時09分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  今年1月27日。米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長はホワイトハウスから電話を受けた。「あなたを駐韓大使に任命できなくなった」。その日の夜、ワシントンのある社交クラブ。当時のマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)はビクター・チャ氏の上司、ハムレCSIS所長に偶然会った。現場にいた人の証言によると、マクマスター補佐官はビクター・チャ氏に対する激しい怒りをハムレ所長にぶつけたという。経緯はこうだ。

  北朝鮮を相手にした対北朝鮮武力強硬策「鼻血(bloody nose)戦略」(制限的先制打撃)はマクマスター補佐官の作品だった。これを強行しようとした。ところがビクター・チャ氏は最後まで穏健論を展開した。「それはまぬけな(dumb)アイデアだ」。結果論だが、ビクター・チャ氏の「抵抗」が鼻血戦略を無力化した。現在の「制裁と交渉」戦略に転換させた原動力になった。我々としては感謝しなければいけない。

  ところがビクター・チャ氏が最近、韓国では悪い強硬論者になってしまった。CSISが先週出した「未申告サッカンモルミサイル基地」報告書のためだ。ニューヨークタイムズ(NYT)が「北朝鮮が巨大なトリックを準備している」と拡大引用し、波紋が広がった。問題は、米国ではただNYタイムズを非難しているだけだが、韓国ではCSISのビクター・チャ氏の「隠された意図」を疑っている点だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は「未申告」という表現を問題視し、朴智元(パク・ジウォン)議員は「ネオコン(強硬派)」「フェイクニュース報道官」と非難した。丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官は「(ビクター・チャ氏は)戦争になってもよい、叩いてつぶせ、このように話す。政治をしている」と述べた。米軍産複合体の食物連鎖とも言った。一部のメディアもこれに同調している。

  果たしてそうだろうか。ビクター・チャ氏やCSISを代弁するつもりはない。しかし事実関係は明確にしよう。今回の報告書は米朝交渉に突っかかろうとするものではない。年初に始めた「ビヨンド・パラレル(境界線を越えて)」プログラムの一環だ。空気浮揚艇基地(1月25日)、寧辺(ヨンビョン)核施設(4月23日)衛星写真の分析に続くシリーズ物だ。また、報告書をよく見ると、サッカンモル基地の存在が1990年代初めから米国防総省と情報機関に知られてきたことをはっきりと認めている。それを大衆により詳しく知らせた「研究」だ。申告・未申告が重要なのではない。学者的な欲から最も鮮明に撮影された3月の衛星写真を報告書に載せただけであり、春・夏・秋・冬すべて衛星分析をしたことも書かれている。さらに著者が自ら「NYタイムズの『トリック』見出しは適切でない」と話している。

  対北朝鮮制裁緩和を叫ぶ現政権勢力の考えと、圧力・交渉を併行すべきというビクター・チャ氏の考えは明らかに違う。気に入らないかもしれない。実際、チャ氏の原則論が負担になる時もある。しかし自分の考えよりも右側にあるからといって確実な根拠もなく「軍産複合体の手先」を云々して批判してもよいのか。相手より左側にいるという理由で「左翼」と攻撃されるのと変わらない。何よりもビクター・チャ氏が軍産複合体の代理人なら、いったいなぜ先制打撃に反対して交渉を促し、大使内定まで取り消されたのだろうか。我々の中で誰がその疑問に答えることができるのか。

  年初にビクター・チャ氏の内定が取り消された際、韓国外交部は「個人の一身上の問題」としてビクター・チャ氏の個人的な問題がその理由かのように話を避けた。ただ「米政府が決めること」といえばよいことだった。事実を糊塗して事態を膨らませた。

  今回も同じだ。実体を把握せずに興奮した。敵まで友軍にすべき重大な局面に友軍までも敵にしているのだから、兵法でいえば0点の外交をしている。

  金玄基(キム・ヒョンギ)/ワシントン総局長
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