【コラム】米国人を魅了するストーリーを持つ朴大統領(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2013.05.08 15:25
朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領はワシントンによく知られている人物だ。政治家としてよく訪問し、専門家・シンクタンク・企業家・政治家に会ってきた。そして多くの人たちに好印象を与えてきた。民主党支持者、共和党支持者を問わず、すべての人が朴大統領を有能かつ明晰で、重要な政治的人物だと評価する。では、今回のホワイトハウス訪問はどのような点で過去と違うのか。一つ目、朴大統領は韓国初の女性大統領という歴史的人物としてワシントンに戻ってきた。1987年以来最も大きな票差で韓国大統領選で勝利したという事実は、すでに西側世界が称賛してきた韓国の民主化サクセスストーリーに偉大さを加えた。これは韓国人には大したことではないように映るかもしれないが、米国人にはそうではない。アジア諸国で男性ショービニズムを何度も目撃している人々にとって、朴大統領はアジア全体を代表する里程標として受け止められる。
2つ目、ホワイトハウス訪問と両院合同会議演説は、朴大統領の政策とビジョンを紹介する機会になった。しかし政策の説明よりも重要なのは、米国民に自分の個人的ストーリーを紹介できたという事実だ。過去の韓国指導者は目を引く個人史を持っていたし、これは米国人の反響を呼んだ。金大中(キム・デジュン)大統領は民主化闘士として西側世界で名士扱いを受けた。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の場合、貧しい家庭で育ち、司法試験に合格した後、大統領になったという点が、米国人にはエイブラハム・リンカーン式のストーリーとして共感を呼んだ。李明博(イ・ミョンバク)大統領も、現代の末端職員からスタートし、世界的建設企業の社長、そして大統領にまでなった。貧しい家庭で育って金持ちになったというストーリーは、韓国版アメリカンドリームだ。
そして今回の訪問を契機に、米国人は朴大統領に関するストーリーを知ることになった。10代で母が北朝鮮要員によって殺害され、国のファーストレディの役割をすることになった事情がある。大統領だった父を悲劇的な事件で亡くした経緯、その後に公的な席から姿を消さなければならなかった話もある。しかし97、98年にアジア金融危機で国が分裂したと考え、政界に復帰することを決心した経緯もそうだ。朴大統領の顔には政治参加による傷あとが今も残っている。ハンナラ党代表としてソウル市長選を支援する遊説中、刃物を持った男に襲われたところだ。米国人の立場で見ると、朴大統領は興味深く魅力的な政治指導者だ。