四つ目、経済構造が硬直した国は硬直性を抜け出すための措置を取らなければならない。成長を支えるためには構造的変化に適応する能力が必要だ。

最後に、新しい成長モデルと費用負担に対する社会的合意のためにはリーダーシップが必要だ。新興国の相当数が成長をしない低空飛行を続けた後、成長をまた始めるパターンを見せるが、このような前向きな発展は決して自動的には起こらない。筆者が見るに、こうした発展を実現させた触媒はほとんどが効果的なリーダーシップだった。

実質成長率と潜在成長率の格差をなくし、均衡を取り戻すまでは、数年間という時間が必要となるかもしれない。正確に何年かかるかは政治的な選択と構造改革の速度によって変わるだろう。また、成長潜在力を後押しする技術発展および人口構造学的な要素は数十年間にわたり変化を繰り返すだろう。米国およびその他の先進国が長期的な下落傾向に入り込んだかどうかに関係なく、こうした変化を人為的に防ぐのは不可能だ。

しかし目の前にある課題はこれとは違い、私たちの力で克服が可能だ。今するべきことは、潜在成長率の流れが許す範囲内で、回復力の強い同伴成長のパターンを構築することだ。

マイケル・スペンス・ニューヨーク大教授／ノーベル経済学賞受賞者


【コラム】新たな成長のためには＝韓国（１）