韓国が世界の舞台にあまりにも急速に浮上したために、韓国人が新しく形成された国家の地位にまともに追いつけずにいるのかもしれない。だが韓国的アプローチ法ないし韓国的方法論を探せない根本的な理由は、さらに根深いところにある。韓国は、世界最高の製品を生産して出す経済大国だ。それでも世界的水準の理論的・概念的談論の形成に確信ある声を出せずにいる背景には、分断国家という事実も横たわっている。

韓国人の対話や日常生活には、北朝鮮の存在感がほとんど見られない。しかし平行線のまま韓国文化に統合されずにいるもう１つの韓国が与える圧迫は大変なものだ。韓国人の情緒と文化に大きな漏水現象を招いており、結局は韓国自らについて明確なビジョンを形成するのに障害となっている。したがって韓国と北朝鮮の分断を地理的にのみ見るのは非常に皮相的なアプローチといえる。

統一された韓国の価値は想像できないほどに大きいため、単純に計算機をたたいて出てくる統一コストだけでは評価はできない。韓半島の地理的分断は、全般的な韓国文化を貫いている。これによって韓国は世界的な大学者を輩出していながらも分断・統一に関する具体的な絵を描けずにいる不確かな状況が続いている。今や韓国も、経済的な面での統一コストだけで計算するより、お金ではとうてい換算できない文化的・情緒的問題についても考慮すべき時になった。

Ｅｍａｎｕｅｌ　Ｐａｓｔｒｅｉｃｈ（イ・マンヨル）慶煕（キョンヒ）大学国際大学院教授


【コラム】なぜソウルは世界的談論や思潮を生産できないのか（１）