「人工知能（ＡＩ）手術ロボットが１０年以内に熟練した外科医師の代わりをするようになるでしょう」

先月２０日、英国ロンドン大学（Ｕｎｉｖｅｒｓｉｔｙ　Ｃｏｌｌｅｇｅ　Ｌｏｎｄｏｎ）のユーストン・スクエア研究室で会ったダニエル・ストヤノフ教授（３９）は「すでに活発に導入されている手術用ロボットに人工知能を結合する研究を進めている」と紹介した。

ユーストン駅一帯が見下ろせる窓の横では、研究用ロボットのアームがひっきりになしに動いていた。

ロンドン大学だけでなく、欧州連合（ＥＵ）や米国の多くの大学・研究所がこのように手術ロボットに人工知能を結合させる作業に没頭している。この分野が次世代のブルーオーシャンに挙げられているためだ。世界の手術ロボット市場は急成長を遂げている。韓国食品医薬品安全処によると、５兆１８７４億ウォン（約５１３５億円）だった世界手術ロボット市場は２０２１年には９兆６４１３億ウォンに達すると見込んでいる。ここに人工知能手術ロボットまで加われば、市場が爆発的な成長を遂げることは間違いない。

人工知能手術ロボットが導入されれば手術費が画期的に安くなるなど医療市場の様相が大きく変化することが予想されるためだ。

ストヤノフ氏は「医者がいない所でもロボットさえあればいつどこででも手術が可能になる」としながら「ロボットが医師の代わりをするので手術費もかなりおさえられる」と予想した。ストヤノフ氏は「医者１人を育てるためにどれほど多くの費用がかかるか。ＡＩ手術ロボットはこのような費用をおさえる役割を果たしてくれる」と述べた。

韓国内でもロボット手術件数は増えている。手術用ロボットが国内に初めて導入された２００５年に１７件に過ぎなかったロボット手術件数が、２０１４年には８８４０件へと大きく伸びた。業界では韓国における昨年のロボット手術件数が１万件を越えたとみている。ストヤノフ氏はロンドン市内の大学病院から数千件の手術映像データを入手して人工知能を開発している。

ストヤノフ氏は「外科医師がメスを動かす角度や臓器の特定部分を切除する方法などを人工知能がマシンラーニングを通じて自ら学習している」とし「現在は腎臓がんの手術を学習させているが、腎臓が他の臓器と離れていて手術ロボットに相対的に人工知能を適用させやすい」と説明した。

囲碁人工知能「アルファ碁」が対局を繰り返すにつれて強くなるように、手術用ロボットの人工知能も学習が進むほど効果的な手術法を学習していく。

ロンドン大学が開発している手術用ロボットの人工知能は、患者別に臓器区分別方法をマシンラーニング技法を通じて学習しているところだ。

ストヤノフ氏は「人それぞれ顔付きが違うように、臓器の位置や形もそれぞれ異なる。このような違いを区別してこそ人工知能手術が可能になる」とし「腎臓がんと小腸がんは手術方法も違うが、近い未来にはそれぞれ異なるがんに特化した手術方法を学習した人工知能も登場するだろう」と述べた。


海外で急速な発展を遂げるＡＩ手術ロボット…韓国ではまだ初期段階（２）