◇ソウル広場

集会防ぐためバスでフェンスづくりへ

参加連帯などが加わった「ソウル市民キャンペーン団」は最近、ソウル広場の使用を、事前の許可制から申告制に変える「条例改正案発議の署名運動」を完了した。こうした動きが始まったのは５月からだった。警察は、故盧武鉉（ノ・ムヒョン）前大統領の逝去を追慕する人々が殺到した５月２３日から１２日間にわたり、人々の接近を防ぐためソウル広場にバスによるフェンスを設けた。ソウル市は「文化イベントや余暇の善用に使われるべき」という条例を挙げ、使用を許可しなかった。

同事件は「広場の意味」をめぐる論争に拡大した。その後、封鎖に反対する人々は「民主主義の象徴的空間となるソウル広場を使うための手続きが非民主的だ」と批判した。半面、ソウル市と警察は「自由には責任が伴う。文化空間の広場が、理念組織の違法な集会所に変質された」と反論した。

◇ミネルバ

経済揺るがしたサイバー論客…無罪



今年１月、インターネット上でハンドルネーム「ミネルバ」を使った論客が、偽りの事実を流布した疑いで検察に逮捕された。昨年、世界金融危機を予測したとして「サイバーの経済大統領」として名をはせたこの論客は、専門大学（短大）を卒業した後、経済学を独学した無職者パク・テソン氏（３１）だった。

パク氏は４月の第１審で無罪を言い渡された。同氏は検察が適用した電気通信基本法が「表現の自由を侵害する」として憲法訴訟を起こした。同氏は最近「ミネルバ生存経済学」という本を出版、テレビや講演会に出るなど活発に活動を展開中だ。同事件は「制度圏の有識者」の限界、表現の自由と責任の関係、学閥社会の偏見－－などを水面上に浮上させた。

◇集団自殺

インターネットのコミュニティーに集まった１２人が自殺

４月、江原道（カンウォンド）は「集団自殺」の恐怖に襲われた。８日に旌善（チョンソン）、１５日横城（フェンソン）、１７日麟蹄（インジェ）、２３日楊口（ヤング）と５回にわたって男女２１人が集団で自殺を試みた。うち１２人が死亡した。集団自殺を試みた人々は、ネット上の自殺カフェを通じて知りあった。事件の中心にはポータルサイト、ネイバーに設けられた自殺カフェ「同伴自殺（suicide０４）」があった。

開設者は７０代の祖母と暮らしていて、インターネットだけに没入する孤立した２１歳の青年だった。彼は５月初め警察に逮捕された。面識もない人々がネットを通じて連絡を取りあい、会い、死んでいった事件は、社会に衝撃を与えた。カフェの開設者は中央日報とのインタビューで「これだけ多くの人が死んでいくとは予測しなかった。自殺した皆さんに申し訳ない」とした。先進国より高い韓国の自殺率が社会に議論を呼んだこともあった。

◇ルーザー

外見至上主義めぐる議論を呼んだ一言

「身長１８０センチ以下はルーザー（ｌｏｓｅｒ　負け犬）」－－。

ＫＢＳテレビ（韓国放送公社）のトーク番組「美女たちのおしゃべり」に出演した女子大生の発言が、今年後半、韓国社会を揺るがせた。ネットユーザーはその女子大生を「ルーザー女」と名付け、彼女の個人情報をネット上に流した。いわゆる「ルーザーの乱」だ。在学中だった女子大生は学校を欠席し、周辺との連絡も途絶えた。学校側は「迷惑をかけて申し訳ないという言葉を伝えた後、連絡が途絶えている」と伝えた。

サイバーの空間での「身元情報探り」がオフラインにまでつながり、ある個人の社会生活をまひさせたわけだ。同事件は、これまで女性の外見を戯画することには寛大だった韓国社会の二重的な態度をあらわにした。また、外見至上主義（またはコンプレックス）がどれだけ社会に深く根付いているのかも示した。

◇サイバーテロ

韓米両国の２６機関を同時にハッキング

７月７日、青瓦台（チョンワデ、大統領府）、国防部のホームページなど韓国と米国にある２６の主要機関のインターネットサイトが、同時多発のハッキング（コンピューターへの不正侵入）によりまひした。非正常にアクセスの回数（トラフィック）を増やし、サイトへのアクセスを妨害する「ＤＤｏＳ」攻撃だった。悪性コードに感染した数万台の「ゾンビ・パソコン」は主要機関のインターネットサイトを一斉に攻撃、アクセスできなくした。

一般の人々のコンピューターが本人も知らない間に悪性のコードに感染し、攻撃に活用され得るという事実が衝撃を与えた。ＤＤｏＳ攻撃は古いハッキングの手口だったが、大半の機関はこの攻撃に無策のままだった。「７．７サイバーテロ」と名付けられた同事件は「デジタル社会」の影をあらわした。事件から４カ月後に国家情報院は、ＤＤｏＳ攻撃に動員されたサーバーのＩＰアドレスが北朝鮮・逓信庁のものに確認されたと明らかにした。




キーワードで見た０９年・韓国１０大事件（１）