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「トランプも何もできない…金正恩にだまされた」(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.07.19 14:48
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平壌はポンペオを懐柔しようとしている。「強盗的な非核化要求だけを持ち出した(8日、外務省)」。暴言は心理戦だ。「共産主義者は事を完成させようとする西洋人特有の早急性(impatience)を利用する」(C.ターナー・ジョイ著『共産主義者はどう交渉するのか』)。ジョイは1953年の休戦交渉の米国代表だった。その本は対北朝鮮交渉の失敗と挫折の凄絶な告白だ。侮辱は早急性を誘導する手法だ。

「論点を曇らせろ(red herring)」。ジョイ提督が看破した北朝鮮の戦術だ。米朝遺骨送還交渉がそれだ。遺骨は非核化の本質でない。北核専門家ロバート・ガルーチが警戒した「おとり商品(bait and switch)」だ。北朝鮮は争点を別のところにそれとなく変えようとする。

 
このような状況は米国の自業自得だ。自他熟知を怠けた代価だ。交渉チームの経験・貫禄で差が大きい。金英哲(72)は海千山千すべて体験した。彼がデビューしたのは1990年(南北高官級会談)だ。金桂冠(75)は水面下にいる。1980年代初期から本格的に登場した。平壌オールドボーイのノウハウは再生産されて続く。北朝鮮実務チームは激しくて執拗だ。交渉は彼らに戦争の別の手段だ。

ポンペオ(55)は秀才だ(ウェストポイント・ハーバード大ロースクール首席卒業)。しかし彼は北朝鮮に慣れていない。彼のそのような面が露出した。彼は金正恩を「Chairman Un(恩委員長)」といった。ハングルの姓・名の順序を勘違いしたのだろうか。2014年のガルーチの反省は有効だ。「当時(1994年のジュネーブ米朝会談首席代表当時)我々は北朝鮮に対して無知だったし今もそうだ」。その後もホワイトハウス・国務省の担当者の大半は北朝鮮を知らない。

平壌の交渉力は無敵なのか。崩れたことも何度かある。彼らも予測不可能、奇襲、逆発想にやられた。

1984年9月、集中豪雨が降った。北朝鮮は韓国の被災者を支援する考えを表した。北朝鮮は誤認した。韓国がこれを拒否すると信じた。ノ・シンヨン安全企画部長(現国家情報院長)の逆発想は絶妙だった。「韓国の経済力が北朝鮮より優れていることを国際社会が知る。救護品の受諾で体面を汚すことはない。自信を見せる機会だ」。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権は逆襲に出た。「救護物資を受ける」。平壌(ピョンヤン)は慌てた。経済難の中で物品の確保に苦労した。北朝鮮の暗い実情が暴露した。物資提案は金正日(キム・ジョンイル)のアイデアだった。北朝鮮は意表を突かれた。

独裁体制のアキレス腱は統治資金だ。2005年9月、米財務省はそこを狙った。マカオのバンコ・デルタ・アジア銀行(BDA)に金融制裁をした。BDAの北朝鮮口座が凍結した。そこに金正日の秘密資金が入っているようだった。平壌は奇襲を受けた。金桂冠は「非常に苦しい」と訴えた。しかし彼は「資金凍結が解除されなければ6カ国協議は難しい」と言った。相手は国務省のクリストファー・ヒル次官補。金桂冠の瀬戸際圧力にヒルは押された。2007年6月に口座凍結は解除されたた。北朝鮮はBDAの足かせから免れた。

1953年6月の反共捕虜解放は李承晩(イ・スンマン)式の瀬戸際決断だ。当時、米国と中国・北朝鮮は休戦に弾みをつけた。李承晩大統領の反撃は緻密だった。世界が驚いた。米国は李承晩をなだめた。韓米同盟体制(相互防衛条約締結)が構築された。それは北朝鮮の戦後構想に致命的な打撃を与えた。同年11月、リチャード・ニクソン(副大統領当時)は韓国を訪問した。『ニクソン(大統領)回顧録』は「老政治家の賢明」を記憶していた。「共産主義者と取引するうえで『予測不可能性』が重要だ(importance of being unpredictable)という李承晩の洞察は…」。米国は後退した。しかし再逆転の機会はある。それは非核化のロードマップ交渉だ。

米国は無数の交渉失敗と沈滞の経験を持つ。ジョイ、ガルーチ、ヒルのノウハウは説得力があり豊富だ。それがトランプ政権に学習効果として伝授されなければいけない。トランプは韓国人の支援を受ける必要がある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「韓半島運転手」との提携も活発でなければいけない。北朝鮮の取引手法に同じ民族の韓国人は慣れている。韓国は北朝鮮をよく知っている。

パク・ボギュン/中央日報コラムニスト


「トランプも何もできない…金正恩にだまされた」(1)

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