◇韓国、経済発展方向に国民的共感なく

話が韓国経済の諸般の問題に移るとイ氏は韓国経済のパラダイムが変化したことを強調した。大企業の輸出が増えるからと国内雇用と国内総生産（ＧＤＰ）は増加しないということだ。彼は特に韓国経済の当面のリスクは何かという質問に、「経済発展の枠組みに対する国民的共感がないということがより大きなリスク」と答えた。

――それがなぜ重要なのか。

「国民的共感なくして経済政策策定と持続的な執行は難しい。いま韓国では大企業と中小企業、成長と分配、環境、地域均衡発展など、どの問題も共感がない。もう過去のように一糸乱れぬ政策と執行を期待することはできない」

彼は韓国の経済発展戦略を馬に例えて説明した。「例えばいままでよく走ってきた馬を乗り換えるべきかそうでないのかに対し共感が形成されずそのまま走っている局面だ。他の後進国の馬がついてきており、いままでよく走った馬よりも新しい馬がよく走るという保障もないためだ」

◇医療産業のようなサービス産業育成すべき

――輸出中心の成長戦略は有効でないとみるか。

「大企業が輸出を増やし大卒者の雇用を十分に作り出す可能性はほとんどないとみる。輸出をしたとしても中小企業が世界を相手に納品することでそうしたことが可能だ。もっと良いのは優秀な人材を世界へ送り出し海外で働き口を探すことだ」

――韓国はどのような産業で競争力を求めなければならないだろうか。

「とても簡単だ。最も頭の良い学生たちはどの学科に行ったか。昔はみんな工学部に行った。それで現在の造船、ＩＴ産業を作り上げた。いまは医学部に行く。医療産業をはじめ韓国のサービス産業は本当に競争力がある。サービス産業を育成しなければならない」

彼はインタビューの最後に、「日本は２０年の長期不況を体験してからようやく何かをしてみようという雰囲気ができた。韓国が日本経済の経験を繰り返さなければ良いだろう」と話した。韓国経済が国民的共感を作れず革新を成し遂げられない無気力症から最大限早く抜け出さなければならないという話だった。


アベノミクス失敗すれば韓国含むアジアに大きな影響（１）