【コラム】金正恩論争
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.03.27 14:38
1550年、スペインの首都だったバリャドリッド(Valladolid)で世紀の論争が広がった。翌年まで続いたこの論争は、新大陸原住民の処遇をめぐって二大勢力がぶつかった。論争の主人公は原住民の立場を代弁した老修士ラス・カサス(1484~1566)と彼に異を唱えた哲学者セプルベダ(1490~1573)だ。当時、原住民は新大陸発見以降の征服過程で虐殺と奴隷化に苦しめられていた。
人間と文明を貫く彼らの知的激突は「バリャドリッド論争」と呼ばれて世界史の1ページを飾った。論争の核心は原住民が自身の神々に人間をいけにえとして捧げる野蛮性に対する評価だった。ラス・カサスは「原住民が真の信仰の啓蒙を受けることができないためなので、説得と教育で教化させれば良い」と主張した。一方、セプルベダは違った。彼は「人間をいけにえに捧げるほど、血が好きな呪われた種族を強圧的方法で支配して統治しても問題がない」と対抗した。2人の世紀的対決はラス・カサスの勝利で終わった。この論争はイラク戦争、人種差別主義など現代社会のさまざまな現象を省察する時に参考となっている。