最近、両親を連れて韓国と中国のあちこちを旅した。その中で最も大きな感動をもたらしたのが韓国式庭園だった。そこで人生に関する小さな教訓を得た。昌徳宮（チャンドックン）の後苑（秘苑）を散歩しながら木と石の間に静かに位置する優雅ながらも節制された感じの建築物に感動した。今まで一度も見たことない新しい様式の庭園だった。欧州の庭園はほとんど庭の内側や建物の後方に別に作られる。中国で見た中庭（ｃｏｕｒｔｙａｒｄ　ｇａｒｄｅｎｓ）にはたいてい独特な岩や物が展示されていた。しかし昌徳宮（チャンドックン）は森のように広い庭園が丘や岩に沿って自然に広がり、その中で上品な宮廷があたかも自然と一体化したように溶け込んでいた。

案内人はこのように説明した。「韓国では庭園というのは人々が自然そのままの姿に戻っていく一種の通路です。ビルや建築物は庭園と自然に同化します。このような面で日本や中国の庭園とも違います。日本は人為的な作業で美しい風景を演出しようとします。中国は限定された空間の中で自然の美しさを誇張しようとする傾向があります」

案内人は城北洞（ソンブクトン）の韓国家具博物館の広場を見て回った時も同じようなことを話して聞かせた。その方は博物館の端の低い壁を指して言った。「この広場が建物の端であるここで終わると考えるでしょう。でも、道の向かい側の木々が見えますか。あそこには山もあるでしょう。実際、私たちはここから見える木や山を全て広場の一部と感じるのです」

この経験は私に「人生において誰も１人で生きることはできない」という教訓を与えてくれた。人々は世の中と自然に囲まれている。人生で重要なのはどのように自分自身を最も正しいやり方で自然に溶け込ませるかだ。

案内人はこんなことも言った。「広場は季節ごとに変わります。時間の流れを自然に見せます。秋に来れば山に紅葉も見れるし秋の鳥の声も聞くことができるようになります。冬には白い風景画のように見えるでしょう。韓国ではこれを見て『友人の家を季節ごとに行くことができなかったらその家を本当に訪問したとは言えない』と話します」

この部分もやはり私に重要な教訓を与えた。私たちの人生にも季節があって自分が今どの季節に属しているかを把握して、それに合わせて生きるということが大切だ。私たちの周りの人間関係も全く同じでないだろうかと思う。私が彼らが体験した人生の季節を全て見守ってみなければその人を完全に理解するということができないはずだからだ。

マーク・テット（Ｍａｒｋ　Ｔｅｔｔｏ、ＪＴＢＣ『アブノーマル会談』出演者）