韓国食品企業が中国市場の高故高度ミサイル防御体系（ＴＨＡＡＤ）報復の影から抜け出した。韓国製品に対する中国消費者の信頼とロイヤリティー上昇、現地での積極的な新製品発売戦略などが実績回復の主な原因に挙げられる。農水産食品の中国輸出も史上最大を記録し、ＴＨＡＡＤを完全に克服したという分析が出ている。

実際、韓国農水産食品流通公社の２０１８年１２月の農林水産食品輸出動向および統計で昨年の中国輸出は高麗人参類などの輸出好調により輸出額最高値の１５億１０００万ドル（約１６６９億円）を達成したという集計結果が出た。２０１７年、中国輸出額はＴＨＡＡＤの余波などで前年より７．７％減少した１３億６０００万ドルに留まった。その後、ＴＨＡＡＤ後の暴風が治まり、増加傾向に転換した。

食品業界の売上げも中国でＴＨＡＡＤイシュー以前の水準を回復した。１７日、食品業界によるとオリオン中国法人の昨年の売上げは９３３０億ウォン（約９１５億円）、営業利益は１４１６億ウォンを記録した。前年比で売上げは１７％、営業利益は６３８％成長した。オリオンの中国市場営業利益率の場合、ＴＨＡＡＤイシュー発生前の２０１６年度水準の１５％台に上昇した。

オリオンは新製品効果と一般小売店の売台占有率の回復、Ｅコマース・チャンネル拡大などを売上げ増加の原因に挙げている。オリオンは昨年、ＴＨＡＡＤイシュー克服のために中国で「浪里个浪〔コブク（亀）チップ〕」、「ホンダチップ」、「点点醤〔カムジャエンソスダッ（ジャガイモにはソースだっ）」、「チョコパイ・イチゴ味」のような１５種類の新製品を発売した。特に浪里个浪は韓国で先に開発されたが、中国現地消費者の好みを考慮し、韓国にはない「メキシカンＢＢＱ」味をリリースし、発売から７カ月で４０００万袋を販売した。

チョコパイやキューティパイなど既存製品のブランド・パワーも売上げ回復に寄与した。オリオンは中国現地で販売される６５００余りのブランドに対する消費者アンケートによって評判と忠実度を評価する「２０１９中国顧客推薦指数（Ｃ－ＮＰＳ）」のパイ部門で５年連続１位を記録した。

オリオンのイ・ヨンギュン常務は「中国全体販売店の７０％程度を占める一般小売店で売上げが回復し、実績改善に力を加えている」とし、「ことし中国現地に１０種余りを越える新製品を投入し、持続的な営業構造改善および管理強化により売上げと収益性をＴＨＡＡＤ以前同様に引き上げることになるだろう」と話した。

農心（ノンシム）の中国法人「上海農心食品有限公司」も昨年１－３月期にＴＨＡＡＤ余波を克服し黒字転換した後、持続的な黒字基調を維持している。オンライン販売と大都市中心の販売を増やした結果、昨年農心中国法人の売上げは２億８０００万ドルで前年（２億２７００万ドル）より２３％成長した。

農心は昨年１１月１１日に開かれた中国最大ショッピング祭りである阿里巴巴（アリババ）の光棍節で歴代最大のオンライン売上げを達成した。アリババのオンライン・ショッピングモール「淘宝」で農心の売り上げは１日平均より１０倍以上多い５００万人民元（約８２００万円を記録し、前年の光棍節に比べ２５％成長した。辛ラーメンやノグリラーメン、安城（アンソン）湯麺やキムチ麺など人気製品８種で構成された農心ラーメン・パッケージが売上げ増加を導いた。

三養（サミャン）食品は１月、「寧興洋平国際貿易有限公司」と中国総販売に対する業務協約を通じて中国全域にオン・オフライン流通網を確保した。三養食品はこの協約により中国の主要コンビニと大型マート１６００店舗余りに入店することになる。

三養のプルダクポックンミョン（炒め麺）が中国市場開拓に先鋒として出る。昨年１１月、韓国農水産食品流通公社が発刊した個人直輸入ショッピングモール市場の分析報告書によると中国２位の個人直輸入ショッピングモール「天猫国際」で三養のプルダク炒め麺が韓国食品の中で販売１位を記録した。三養食品は中国内陸地域とオンライン販売によりプルダクポクム麺を含むプルダクトッポギ（餅炒め）が、プルタクマンドゥ（ギョーザ）のようなインスタント製品で中国輸出を拡大する計画だ。

金廷修（キム・ジョンス）三養食品代表は「中国は輸出全体の５０％を占める重要な市場」とし、「寧興洋平の広範囲な物流システムと流通、マーケティング力を活用し、戦略的で体系的に中国市場を攻略するだろう」と話した。