【コラム】安倍の歴史武器(1)

【コラム】安倍の歴史武器(1)

2013年08月23日09時45分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  安倍晋三首相は挑発する。彼の政治武器は歴史だ。安倍は戦争の記憶を再構成する。そうして大衆への影響力を拡張する。

  東京新宿の市ヶ谷記念館。安倍の歴史観の根が見えるところだ。そこは日本軍大本営陸軍本部だった。68年前の敗戦後、マッカーサーの極東軍事裁判の法廷に変わった。今は記念博物館だ。

  東条英機ら戦争の主犯はそこで死刑宣告を受けた。しかし展示室に裁判の資料、写真、遺物はほとんどない。東京裁判のビデオ視聴で済ませている。戦争の責任と反省を表す展示物は見られない。

  講堂の壇上に「玉座」の表示板がある。帝国時代の裕仁日王(日本では天皇)が座った場所を記念している。その表示は雰囲気を圧倒する。軍事法廷の敗戦と謝罪の記憶は押し出される。皇軍日本の郷愁に変わる。展示空間は日本軍の遺物で埋まっている。

  その中でほぼ唯一、裁判の展示品がある。インド出身の判事ラダビノド・パル(Radhabinod Pal)の写真、判決文だ。パルは戦犯全員を無罪判示した。戦犯裁判官は米国・英国など連合国出身の12人だった。パルの無罪論は唯一だった。パルは戦犯裁判を「正義の外皮をかぶっているが、敗戦国の犯罪だけを扱った勝者の報復」と主張した。

  2007年8月に安倍はインドを訪問した。最初の首相時代だ。安倍は「気高い勇気を示されたパル判事はたくさんの日本人から今も尊敬されている」と演説した。安倍はパルの子孫を訪ねてカルカッタまで足を運んだ。そしてパル判事を回顧した。1966年にパルが東京を訪問した時だ。パルは「日本が戦争犯罪を起こしたと子どもに捻れた罪の意識を植え付けてはいけない」と述べた。

  「勝者の報復、無罪論、捻れた罪の意識」--。パルの論理は巧妙にかみ合っている。パルの言語は日本右翼勢力の歴史アリバイだ。忘却と郷愁だ。忘却は「戦犯国家」という罪の意識をはたき落とす。郷愁は軍事力復活として作動する。安倍の歴史意識にパル判事が存在する。

  ドイツも同じ経験をした。ニュルンベルクに第2次世界大戦戦犯裁判所が残っている。2010年、その建物に博物館が入った。展示物はナチスの犯罪の清算と膺懲、自省と教訓を表す。メルケル独首相が20日、ナチス時代の収容所を訪れた。メルケルの謝罪はその博物館の展示コンセプトと一致する。私は市ヶ谷とニュルンベルクの両方を訪れて比較した。記憶の2つの場所は対比される。両国リーダーシップの歴史観の違い劇的に反映している。

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