東京で会った秋山成勲(チュ・ソンフン)は7カ月ぶりに上がるリングのことで頭がいっぱいになっていた。韓国でテレビをつければあなたの登場するCMが続々出てくるよと言っても、子供のように笑うだけだった。考えてみれば驚くことだ。「お前はどっちなのか」と迫られ、韓国人とも日本人ともいえず、両肩に2つの祖国を背負って誰より波乱に満ちた人生を生きてきたファイターが、どうしてあんなに純粋に笑うことができるのか。彼の人間的な魅力だからなのかと不思議だった。
--帰化後、柔道選手から格闘技選手に転向し、K1デビューしたとき、売国奴でも、愛国者でも、変節漢でも、何かに分類しなければいられない人々に、これ見よといわんばかりに日の丸と太極旗を両方付けて勝利した。あのときの気持ちはどうだったか。