【取材日記】「福祉天国」スウェーデン、韓国には合わない服
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2011.12.09 09:40
10月26日のソウル市長補欠選挙が終わった直後から政界では福祉拡大政策があふれ出ている。基礎老齢年金20%引き上げ、所得上位30%家庭0~4歳無償保育などだ。
国民に恵沢をより多く与えるという話で喜ばなくてはならないが、なぜか後味がすっきりしない。お金は誰が、どのように調達するのか、お金をさらにつぎ込めば底辺まで温かさが広がるだろうかという疑問のためだ。本紙の「福祉混乱、現場で解決法を探す」シリーズもその延長線から出発した。韓国の福祉水準は経済規模に比べ大きく劣っているのが事実だ。政府の社会福祉支出は2007年に国内総生産(GDP)の7.5%で、経済協力開発機構(OECD)平均の19.3%の半分にも満たない。お金をもっと使わなければならないという主張が出てくるほどでもある。実際に出生率を上げようとするなら保育をさらに支援しなければならない。産業化の主役だが本人の老後に手が回らない高齢者もよく見守るのが道理だ。福祉を増やさなければならない名分は十分だ。
だが、それがすべてだろうか。名分があるからと無条件で増やせば良いのだろうか。現場ではこうした質問にうかつに答えるのは難しい状況が多かった。ソウルのある区庁公務員は、「政界の福祉拡大に自治体がいちいちお金を分担するならば地域の実情に合う草の根福祉はあきらめなければならない」と吐露した。ソウル・中浪区(チュンランク)は無償給食費を用意するために低所得層の児童のための放課後学習支援をほとんどなくさなければならなかった。老後所得保障に集中しなければならない国民年金公団が障害者福祉と基礎受給者勤労能力判定業務を一手に引き受けるなど支援体系もお粗末だった。