◆夷を以て夷を制す？

中国の伝統的な隣国の扱い方の「以夷制夷」も目を引く。ＴＨＡＡＤ報復世論戦に乗り出した中国が真っ先に取った措置の一つが、ＴＨＡＡＤに反対する韓国人を探してその人たちの主張を人民日報に寄稿として掲載することだった。韓国の内輪もめを誘導するという計算だ。

ＴＨＡＡＤに反対する野党議員の中国訪問もそのような脈絡で行われている。韓国国内でも反対の声が多いことを中国の国民に大々的に広報する一方、これを再び韓国メディアが扱うようにし、韓国内の論争をあおる。

敵を弱化させるには昔も今も以夷制夷の策略ほどのものはない。中国の国力浪費を最小化しながら、相手を分裂させて混乱させ、結局は自ら崩壊させるということだ。

◆韓国が一つになる時、ＴＨＡＡＤ報復は消える

中国の報復は簡単には終わらない。習近平国家主席が韓国の指導者に３回もＴＨＡＡＤ反対を叫んだだけに、並大抵のことでは退かないはずだ。特に今年秋には２期目の習近平体制を開く第１９回党大会を開催するため、中国は弱い姿を見せることができない。強硬モードを継続する可能性が高い。

では、韓国は中国の報復を受け続けるしかないのか。大統領選挙に没頭して混乱を繰り返す韓国の政界には特に期待できることはない。韓国の国民と企業が自ら救済策を見つけなければいけない悲惨な状況だ。

その最初の方法として韓国は中国の遵法闘争に注目し、規定や手続き上で中国につけいられる隙を最小化する努力をしなければいけない。中国の人情に頼ってするのは控えるべきだ。

２つ目は中国の代わりになる市場を探すことだ。中国は外交・安保事案と経済報復を結びつける。それだけ不安定な市場ということだ。なら中国を越える別の市場を発掘しなければいけない。中国を脱出してベトナムやバングラデシュなどに進出した韓国の繊維業界、中国の代わりに国内の瑞山（ソサン）に中大型バッテリー生産ラインを増設することにしたＳＫイノベーションを参考にする必要がある。

最後に国民的な団結だ。意見は違っても議論と妥協で敏感な外交事案に対しては国民が同じ声を出さなければいけない。中国が韓国に畏敬の念を抱いたのは、１９９７年の通貨危機当時に韓国国民が一つになって金集め運動をした時だ。

また、２００２年韓日ワールドカップで市庁前の広場を埋めた応援団が一斉に「テーハンミング（大韓民国）」を叫んだ姿も、韓国は決して軽視できない国という認識を中国に抱かせる場面だった。我々が一つになって同じ声を出す時、中国のＴＨＡＡＤ報復は消えるだろう。

ユ・サンチョル論説委員


＜チャイナインサイト＞中国のＴＨＡＡＤ報復…伝統的な以夷制夷に現代的な遵法闘争を混用（１）

＜チャイナインサイト＞中国のＴＨＡＡＤ報復…伝統的な以夷制夷に現代的な遵法闘争を混用（２）