佐藤繊維「うちの糸でミッシェル夫人のカーディガンを編みました」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2009.11.27 10:10
彼が海外市場に目を向けたのは97年にイタリアの糸工場を視察してからだ。「われわれが生産するものは単純な糸ではない。ファッションの基礎を作る作業だ」という現地の職人の言葉に刺激を受けた。「100年かかってもアジアは欧州の紡績市場に追いつけない」というのが当時の欧州業者の通念だった。日本に戻った佐藤社長は「高くても世界でただひとつだけの製品を作らねば」という覚悟で新製品開発に取り組んだ。過去には日本産羊毛を主に使っていたが、原料も変えた。アフリカと南米、アジアなど世界を飛び回り最上級の原料を求めた。多様な材質の糸を生産するため、糸を紡ぐ機械も従業員らと力を合わせ直接開発した。
そうした努力の末に南アフリカ産アンゴラ羊毛1グラムでモヘア糸を30メートルまで紡ぐのが限界だという従来の通念を打ち破り、より細く長く糸を紡ぎ出す技術を開発した。現在市場には44メートルまで伸ばしたものを出しているが、最大で52メートルまで可能だ。30種類の色を混ぜた糸、ウールで和紙を包んだ糸など、独創的な糸も相次いで開発した。