西部劇(ウエスタン)は進化を繰り返してきた。1903年にエドウィン・ポーター監督の『大列車強盗』が始まりだ。60-70年代には「スパゲティ・ウエスタン(マカロニ・ウエスタン)」と呼ばれるイタリア製西部劇映画が登場した。米国式の開拓精神、英雄主義の枠組みを破った。続いてインドの「カレー・ウエスタン」、フィリピン製の「タガログ語ウェスタン」が出てきた。旧ソ連と東欧諸国では、インディアンを「搾取される者」として描いた「オースタルン(Ostern)」ジャンルが登場したこともある。
60-70年代、韓国でも西部劇は人気だった。日本による植民支配時代(1910~45年)の満州を背景にした活劇「満州ウエスタン」だ。林権沢(イム・クォンテク)、申相玉(シン・サンオク)、李晩熙(イ・マンヒ)、鄭昌和(チョン・チャンファ)監督ら韓国型のタフガイの元祖、張東暉(チャン・ドンフィ)、許長江(ホ・ジャンガン)などといった人物が主役だった。満州の野原を豪快に走る男(主に満州独立軍)の姿を通じて大衆は時代的な憂憤を間接的に晴らした。