◆オープン前から消費者を説得したが…

イケアは異例にも正式オープン前から懇談会を開いて価格について説明したが、消費者の反応は依然として冷たい。これはイケアが追求する企業哲学とも関係している。現在およそ４０カ国で３４０店舗を展開するイケアの最も大きな成功要因は低価格政策だ。低価格と少ないマージンを武器に年間売上高は４０兆ウォン（約４兆円）に達する。

イケア創業者イングヴァル・カンプラード氏は自叙伝『ある家具商人の遺言』で、企業の設立目的をこのように記述した。「私たちはデザインが美しく機能が優れた家具と什器をできるだけ多くの人々が購買できるよう安い価格で提供しなければいけない」。このような企業精神は今日まで続き、イケアは１９９８年と２００３年の間に価格を２．５％ほど引き下げた。

イケアの最初の海外進出国であり最も多くの店舗を出したドイツの場合、２００４年８月のカタログで製品価格を前年比平均６％引き下げたりもした。その結果、家具あたりのマージン率は減少したが、低価格でより多くの量を販売し、むしろ収益率が高まった。ドイツの劣悪な内需景気の中でも低価格政策のおかげで本国スウェーデンよりもドイツでさらに愛される企業に成長した。イケアが韓国よりも先に店舗を出したシンガポールやマレーシアでは現在「ＥＬＰ（Ｅｖｅｎ　Ｌｏｗｅｒ　Ｐｒｉｃｅ）」マーケティングが真っ最中だ。現地の物価が毎年上がっても、イケアは価格をむしろ下げる戦略だ。

このように国内消費者がイケアを待った理由も同社が高級ブランドではなく低価格の実用主義を目指すという点だった。それだけに早くからイケアの価格に期待して待っていた国内消費者の失望も大きくなったとみられる。

さらに配送・組立価格まで加えれば価格はさらに上がる予定だ。イケアはピックアップ・配送サービスに基本料金２万９０００ウォンがかかると明らかにした。ＤＩＹ（Ｄｏ　Ｉｔ　Ｙｏｕｒｓｅｌｆ）製品で低価格政策を固守するイケアは、消費者が商品を運んで組み立てることを原則としている。もしイケアの職員に組み立てサービスを要請する場合、基本的に４万ウォンの費用がかかり、商品価格よりも高い費用を支払うこともある。

こうした不満の声にもかかわらず、イケアは「今回設定した価格は来年７月３１日まで維持することは変わらない」と明らかにした。イケアの価格設定が１２月１８日にオープンする国内１号店の光明店の風景をどう変えるか注目される。


イケアコリアの商品価格　安いものはより安く、高いものはより高く？（１）