【中央時評】有名教授が東京大をやめる理由(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2012.05.17 15:13
東京大と似た知的地位と権威で「学問の本山」を自負するソウル大の場合はどうか。ソウル大の年間予算は研究費を合わせて東京大のほぼ半分の約1兆50000億ウォン。教授の平均年俸も東京大の半分の8500万ウォン(約600万円)ほどで、韓国有数の国立大や私立大より低いほうだ。さらにソウル大総長の年俸は1億1000万ウォンで、KAIST(韓国科学技術院)や蔚山(ウルサン)科学技術大の総長の3分の1にすぎない。
こうした現実で形成された法人化は、大学の運営に企業的な経営感覚を要求している。外部から予算を確保するために総長が駆け回り、教授がこれに従うしかない状況になったのだ。当然、市場と権力を動かせるスター教授招聘の誘惑が高まるしかない。このため外部からお金を引き込める教授や学問分野は優待され、そうでない基礎学問分野は枯死するという懸念が提起されている。この過程でダブー視されてきた象牙の塔の市場化・政治化現象は、すでにソウル大の日常的な断面として表れている。
こうした状況でスター教授が政治に関心を持つのは極めて自然なことなのかもしれない。選挙の度に政界に飛び込む‘ポリフェッサー’が少なくない。年末の大統領選挙でも似たようなことが起こりそうだ。政界も理工系の有名教授の招聘に熱を上げている。ある学長はこう語った。「ソウル大に‘安哲秀(アン・チョルス)’がなぜこれほど増えたのか」。「学問の本山」が「政治の本山」に変わらないか心配だという。