【社説】「核兵器がない世界」の理想と現実(1)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2016.05.29 13:02
オバマ米大統領が広島訪問を終えきのうワシントンに戻った。内外の議論にもかかわらず現職米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領は脚本に忠実な模範的演技者の役割を立派にこなした。オバマ大統領の広島での動線は日米の歴史的和解という象徴性を超え、国益と外交的レガシーまで緻密に計算した任期末の企画公演として遜色がなかった。オバマ大統領はイラン、ミャンマー、キューバに続き広島にもうひとつの足跡を残すことになった。
27日午後5時25分、広島平和記念公園に到着したオバマ大統領は日本の安倍晋三首相とともに約10分間原爆被害者の苦痛を生々しく見せる平和記念資料館を訪れた。引き続き犠牲者慰霊碑に献花し無残に亡くなった人々を哀悼する黙祷をした。再び広島と長崎の惨禍を繰り返してはならないという趣旨で17分間の演説を行ない、生存者代表と会い握手または抱擁をすることで48分にわたってしっかりと組み上げられた演劇を完成した。
世界の耳目が集中した「広島演説」でオバマ大統領は日本に原爆を投下した米国の行為自体に対しては一切謝らなかった。しかし核兵器を使った唯一の国として米国の道徳的責務を説明するため単語と表現のひとつにまで注意深く神経を使った。科学革命が道徳革命を伴わない時に人類が体験することになる破滅を悟らせたのが「広島の教訓」としながら核保有国として米国は「恐怖の論理」から抜け出して「核兵器がない世界」を決然と追求すると強調した。