【時視各角】対北朝鮮特使派遣、毒杯になりかねない

【時視各角】対北朝鮮特使派遣、毒杯になりかねない

2018年03月06日13時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
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  外交最前線で北朝鮮を相手にしたジョセフ・ユン米国務省対北朝鮮特別代表。彼は米強硬派の間で「夢想家(dreamer)」と呼ばれた。平和的対話で北朝鮮の核問題を解決すべきという彼の主張があきれた夢のように聞こえたのだ。

  10歳まで韓国で暮らしたユン代表は依然として韓国語に長けている。外交官になった後は2回も駐韓米国大使館で働いた。北朝鮮との核心対話ルートであるニューヨークチャンネルを引き受けたのも、昨年5月にノルウェーのオスロで北朝鮮の外交官らを相手にしたのもすべてユン代表だった。このように韓国との縁が深い彼だったので韓半島(朝鮮半島)全体を戦争の火の中に押し込む軍事的オプションをだれよりも嫌ったことは間違いない。

  彼の辞任はまた別の軍事行動反対論者であるビクター・チャ駐韓米国大使内定者の落馬と重なりもっと大きな響きとなった。2つの事件とも対北朝鮮対話派の没落と映ったためだ。

  そんなユン代表が先月韓国のあるシンクタンクを訪ね、韓国側専門家らと討論した。ここで彼は自身が南北関係を扱いながら体験した苦衷を打ち明けたという。その中には「北朝鮮側が米国は絶対攻撃できないものと信じて行動するのが最もいらいらしたことだった」という告白もあった。

  だがこれは北朝鮮だけの問題ではなかった。「韓国側も軍事行動はしないことと考えるが、絶対にそうではない」とユン代表は付け加えたという。結局南北の政策決定者とも米国の攻撃の可能性を無視しているが、これは致命的な錯覚ということが彼の警告だったことになる。

  こうした中、きのう対北朝鮮特使が平壌(ピョンヤン)に到着した。平和の使節が行ったので順調に北朝鮮の核問題を解決できるというピンク色の期待が膨らむのも当然だ。だがワシントンの雰囲気は冷ややかだ。腕組みをしたまま「対話するなら1度やってみろ」という式だ。

  現政権は特使派遣で祝杯を上げることになったと喜ぶかもしれないが、これはややもすると毒杯になりかねない。特に得るものがなければ「そら見ろ、対話しても何の意味もない」という米国内のタカ派の声が大きくなるのは明らかだ。見かけだけの南北対話は軍事的攻撃の正当性を育てるだけだ。その上代表的なタカ派であるホワイトハウスのマクマスター国家安保補佐官が在韓米軍司令官に来るという話が出ている。実現すれば対北朝鮮攻撃の可能性は大きくなるほかはない。

  だからと成果に執着し誤ったニンジンを提示しても問題だ。今回の特使訪問で南北間に重大提案が行き来するだろうという観測が多い。韓米合同演習の延期や取り消しだけでなく、開城(ケソン)工業団地や金剛山(クムガンサン)観光再開が検討されたという説も出ている。ややもすると対北朝鮮制裁スクラムから韓国が抜けようとしているという誤解を生じさせるところだ。韓国を運転席に座らせておいたら断崖に走って行くという悪評が出てくるほかはない。

  以前には平和的解決の兆しが深まれば米国がニンジンを与えたりした。2006年には寧辺(ヨンビョン)核施設稼動を中断するという言葉を信じ、バンコ・デルタ・アジア(BDA)に凍結されていた北朝鮮の資金を解いた。1991年の韓半島非核化共同宣言、94年のジュネーブ協定、そして98年の4者会談成功の時もさっと制裁を緩めた。

  だが現在の雰囲気は違う状況だ。北朝鮮が表では挑発中止などを約束しても裏ではこっそりとミサイル技術を持ち出して売ったり核兵器を開発したためだ。いまワシントンはこれ以上北朝鮮にだまされないという強硬雰囲気一色だ。文在寅大統領が比喩したように「井戸の周りでおこげを探すような」あせりから責任を負うのが難しい空手形を乱発しては、やらない方がましなことになる。だから北朝鮮制裁を主導する米国が合同演習延期などニンジンを与えるのを拒否できるという事実を忘れてはならない。

  ナム・ジョンホ/論説委員
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